実家が空き家になったらどうする?5つの対処法を解説|活用事例を紹介

相続した実家が空き家になり、どのように活用すればよいか悩む方は少なくありません。
こうした空き家を放置するとさまざまなリスクが生じるため注意が必要です。

この記事では、相続した実家が空き家になってしまった方に向けて、5つの対処法をご紹介します。

これを読めば、相続した実家が空き家になってしまった場合に取るべき行動がわかります。

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1.実家が空き家になったときの5つの対処法

実家が空き家になったときの5つの対処法

実家が空き家になった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。
具体的な対処法は、以下の5つです。

  1. 売却する
  2. 賃貸に出す
  3. 更地にして土地活用する
  4. 別荘にする
  5. 相続放棄する

それでは詳しく見ていきましょう。

1-1.売却する

空き家になった実家を 活用する予定がないのであれば売却を検討するのもよい でしょう。
主な売却の方法は、以下の3種類です。

  • 仲介
  • 買取
  • 空き家バンク

ひとつずつ見ていきましょう。

1-1-1.仲介

仲介とは不動産会社に売買の仲立ちをしてもらう売却方法です。

仲介による売却を選ぶメリットとして、相場か相場以上の価格で売却できる可能性がある点が挙げられます。
なお、仲介で家を売る際に高値売却を実現するためには、売却価格が適正であることが求められます。

適正価格で売却したいのであれば、複数の不動産会社に査定依頼を出して、査定結果を比較するのがおすすめです。
複数の不動産会社から査定結果を受け取る中で、売却価格の相場を掴めるでしょう。

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1-1-2.買取

買取とは不動産会社に家を直接買い取ってもらう方法です。

ただし、不動産会社は買い取った不動産にリノベーションを実施するなどした後、再販することを目的に買い取ることが一般的なため、相場より2~3割程度安い価格での売却となるケースが少なくありません。

そのため買取は、価格が相場より安くなってもできるだけ早く売却したい場合におすすめです。

【買取がおすすめの人】

  • 売却を急いでいる人
  • 家に売却期限がある人

1-1-3.空き家バンク

空き家バンクは、空き家の売却を支援する自治体などが提供するサービスです。

通常、郊外の空き家などは売買価格が安いこともあり、不動産会社は積極的に取り扱いたがりません。
空き家バンクは、そうした物件でも扱ってくれるため、実家が郊外にあるようなケースでは利用しやすいでしょう。

空き家バンクは、物件を探しに空き家バンクを見る人も、郊外にある安く入手しやすい物件を探しているため、マッチしやすい点がメリットです。

【空き家バンクがおすすめの人】

空き家の実家が郊外にある人

1-2.賃貸に出す

空き家になった実家を賃貸に出すのも一つの方法です。
賃貸に出すことで、入居者から家賃を受け取れるようになります。

収入を得られるだけでなく、管理の手間も省けるといったメリットがあります。 入居者がいれば、空き家を放置して進む老朽化を防げるのです。

賃貸に出すのがおすすめなのは、将来的に住むなど活用する可能性があり、物件から収入を得たい人です。

【賃貸に出すのがおすすめの人】

実家を活用して収益を挙げたい人

1-3.更地にして土地活用する

実家を解体して更地にし、アパートやマンションを建てるなどして土地活用する方法もあります。

アパートやマンションを建てて複数の入居者を集めることができれば、家賃収入を得られます。

ただし、アパートやマンションを建てるのには大きな費用がかかる上、立地など条件次第では入居者がなかなか集まらない可能性もある点に注意が必要です。

更地にして土地活用する方法がおすすめなのは、実家の立地がよく、ある程度資金に余裕のある人だと言えるでしょう。

【更地にして土地活用するのがおすすめの人】

  • 好立地の土地を活用して収益を挙げたい人
  • 資金に余裕のある人

1-4.別荘にする

定期的に別荘として利用する方法もあります。

賃貸に出すといったこともしないため、基本的に修繕や建て替えなどの初期費用が不要 です。

一方、活用していない間にも固定資産税等はかかる他、土地や建物の管理を行っていく手間や費用がかかってしまう点には注意しなければなりません。

別荘にする方法がおすすめなのは、都会に住みながらたまには実家のある地方でも生活したい人です。

【別荘にするのがおすすめの人】

二拠点生活したい人

1-5.相続放棄する

遺産の相続自体を放棄してしまう方法も選択可能です。

相続放棄をするには、相続人になったと知った時点から3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。

また、手続きが複雑になるため、相続放棄は基本的に弁護士に相談するのが得策です。

相続放棄では全遺産を放棄します。そのため、あとで一部の財産を引き継ぎたくなっても撤回ができないので注意が必要です。

【相続放棄がおすすめの人】

実家を売却または活用できる見込みがない人

2.実家を空き家のままにしておくリスク・デメリット

実家を空き家のままにしておくリスク・デメリット

実家が空き家になったのにもかかわらず、空き家のまま放置しているとさまざまなリスクやデメリットが生じます。

具体的には以下のような点が挙げられます。

  • 維持費がかかる
  • 老朽化で資産価値が下がっていく
  • 近所とのトラブルの原因になる
  • 罰金を課せられる可能性がある

ひとつずつ見ていきましょう。

2-1.維持費がかかる

不動産は住んでいなくてもさまざまな維持費がかかります。
具体的には以下のような費用や税金が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 水道光熱費
  • 火災保険料
  • 管理サービス費
  • 修繕費用

2-2-1.固定資産税

固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課される税金です。
空き家のまま放置していても、固定資産税は課されてしまいます。

特に、立地のよいエリアにある不動産は固定資産税も高くなりやすい点に注意 が必要です。

なお、土地の上に建物が建っていれば、空き家であっても「住宅用地の特例」の適用を受けて、納税額を最大6分の1にできます。

ただし、適切に管理されていないといった理由で「特定空き家等」に指定されると、上記固定資産税の特例の適用は受けられなくなるので注意しましょう。

2-2-2.都市計画税

都市計画税は、市街化区域内の不動産に対して課される税金です。都市計画税も、空き家であっても課されてしまいます。

また、都市計画税には、土地の上に建物が建っている場合に最大で3分の1にできる制度があります。

ただし、特定空き家に指定されてしまった場合には、上記特例の適用を受けられなくなる点は固定資産税と同様です。

2-2-3.水道光熱費

水道光熱費は、例え使用しなくとも毎月基本料がかかります。
とはいえ、解約してしまうと家の定期的なメンテナンスが難しくなるでしょう。

基本料部分は必要経費と割り切って契約を残しておくのがおすすめです。

2-2-4.火災保険料

火災保険は家が火災にあったときに、条件を満たせば保険金を受け取ることができる保険です。

火災保険を利用するには、契約期間に応じて一定期間ごとに火災保険料を納めていかなければなりません。

2-2-5.管理サービス費

実家が空き家になったまま放置する場合、草刈りなど定期的にメンテナンスしていく必要があります。

しかし、遠方に住んでいるなど頻繁に管理できない方もいるでしょう。

そうした場合、空き家管理サービスなどにメンテナンスを委託することも可能ですが、管理費がかかってしまう点に注意が必要です。

2-2-6.修繕費用

建物は時間の経過とともに老朽化していきます。老朽化が進めば、修繕が必要になるケースもあるでしょう。

修繕の規模によっては、業者へ高額の費用の支払いが発生するので注意が必要です。

2-2.老朽化で資産価値が下がっていく

建物は、経年とともに劣化が進んでいきます。

特に人が住んでいない家は、換気不十分などの理由で劣化スピードが速まってしまいます。

また、以下のような問題も起こりやすいので注意が必要です。

  • カビやホコリの発生
  • ねずみに柱をかじられる
  • シロアリ被害

このような要因によって たった数カ月でも老朽化が進み、資産価値が落ちてしまう可能性もあります。

2-3.近所とのトラブルの原因になる

実家を空き家のまま放置していることで、近所とのトラブルになる可能性があります。

具体的には、以下のようなことが火種になります。

  • 雑草が生え放題になる
  • 害虫が発生する
  • ねずみ、野良猫の住処になってしまう
  • 不法侵入され室内を荒らされるる
  • ゴミの不法投棄場所にされてしまう
  • 倒壊リスクなどで責任を問われるリスクがある
  • 放火のリスクがある

例えば、雑草が生え放題のまま放置していると、周辺の景観悪化につながりかねません。

また、倒壊リスクが高まれば物理的に危険な建物になってしまいます。

こうした問題を近所から懸念されると、不毛な争い事が起こりかねないので注意しましょう。

2-4.罰金を課せられる可能性がある

実家を空き家にしたまま、適切に管理せず放置しておくと、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、特定空き家に指定されてしまうおそれがあります。

特定空き家等に指定されると、固定資産税や都市計画税の軽減税率適用を受けられなくなります。

さらに特定空き家等に指定されると、自治体から「改善命令」が出されることがあり、 命令を無視すると50万円以下の過料に課される可能性があるので注意しましょう。

3.空き家の実家を相続する手続き

空き家の実家を相続する手続き

空き家の実家を相続するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

相続時の手続きの流れは以下の通りです。

  1. 相続の発生
  2. 相続人と遺言を確認する
  3. 相続人の確定と相続財産の調査を行う
  4. 遺産分割について相続人で決定する
  5. 名義変更の手続きを行う
  6. 相続税を納付する

詳しく見ていきましょう。

3-1.相続の発生

相続が発生すると、7日以内に死亡届を提出しなければなりません。

相続手続きを進めるためにも、遺言状の有無を確認してください。

生前に遺言状の場所を確認していた場合には、その場所を確認します。
遺言状の場所が分からない場合は、公正役場に問い合わせてみるとよいでしょう。

3-2.相続人と遺言を確認する

遺言状があった場合は、相続人と遺言を確認します。
相続人が誰になるかは、戸籍謄本を確認してください。

なお、登記が古いままで祖父母のままになっているケースなど、相続人が増えてしまうこともあります。

そうしたことのないよう、被相続人の存命中に最新のものにしておくことが大切です。

3-3.相続人の確定と相続財産の調査を行う

相続人が分かったら、被相続人と相続人全員の戸籍謄本など、相続手続きを進めるための必要書類を集めましょう。

次に、相続財産の調査を行います。

ただし、相続の方法には以下の3つがあります。

  • 単純承認
  • 限定承認
  • 相続放棄

単純承認では、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続します。

これに対し、限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。

最後の相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄します。

例えば、どうしても相続したい財産があるけど、マイナスの財産の方がプラスの財産より多いといった場合には、限定承認を選択するといいでしょう。

単純承認したあと、マイナスの財産がかなり多いことが分かったという事態は避けたいものです。

そのため、調査の段階で プラスの財産とマイナスの財産がどの程度あるのかを把握しておく必要があります。

どの方法で相続するかについては、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に決定して手続きを行わなければなりません。

3-4.遺産分割について相続人で決定する

遺言書がない場合、遺産分割についてどのように配分するか、相続人で集まって決める必要があります。

被相続人が遺言書を遺していた場合、内容に大きな問題がなければ被相続人の意思を尊重して、遺言書の内容通りに手続きを進めるのが一般的です。

一方、 遺言書がない場合には、相続人が集まって遺産分割協議を行う必要があります。

不動産の相続の方法は、以下の通りです。

  • 現物分割
  • 換価分割
  • 共有分割
  • 代償分割

現物分割とは、不動産をそのまま相続する方法です。

一般的な家庭では、相続財産に占める不動産の割合が大きいことが多く、相続人のうちの誰かが不動産を相続すると、他の相続人が何を相続するかで揉めやすくなりがちです。

一方、換価分割は不動産を売却して得た現金を相続人の間で分ける方法です。

共有分割とは、複数の相続人で不動産を共有する方法です。
例えば、3人の相続人でそれぞれ3分の1ずつ相続ずつといった方法で、割合としては公平になりやすいでしょう。

ただし、不動産を共有しても同じように活用できることは少なく、また、共有持分を持った人にさらに相続が発生したようなケースでは、持分が細分化してしまうといった問題も起こり得ます。

最後の代償分割は、不動産を1人で相続し、その代償として現金などを他の相続人に支払う方法です。
動産を相続した人がまとまった現金を用意する必要はありますが、最もトラブルに発展しにくい方法でしょう。

3-5.名義変更の手続きを行う

不動産を相続する人が決まったら、名義変更の手続きを行います。
住宅ローンが残っている場合は、ローンの名義も併せて変更しなければなりません。

ローンの名義を変える場合は銀行の担当者に相談してください。

また、不動産の名義を変更するためには、法務局で所有権移転登記を行わなければなりません。

3-6.相続税を納付する

相続があったことを知った日から10カ月以内に、相続財産の価値に応じて相続税を納める必要があります。

相続税の額は、相続財産の総額を調べ、そこから基礎控除額を差し引いて算出します。

基礎控除額は法定相続人の数に応じて、以下の計算式で求めることが可能です。

計算式:3,000万円+( 600万円×法定相続人の数)

例えば、 法定相続人が子供3人の場合、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円です。

相続財産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税は課されません。

一方、相続財産の総額が基礎控除額以上の場合は、それぞれの相続分に応じて相続税額を算出していくことになります。

4.実家の空き家で取り扱い注意なケース

実家の空き家で取り扱い注意なケース

実家の空き家を取り扱うにあたり、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 土地の境界があいまい
  • 再建築不可な土地に該当する
  • 共有名義になっている

ひとつずつ見ていきましょう。

4-1.土地の境界があいまい

特に昔から所有権を持っている土地の場合、土地の境界があいまいということも珍しくありません。
隣地の所有者も長く変わっていないという場合、暗黙の了解のもと土地を利用してきた可能性があります。

相続の段階では大きな問題にならなくとも、将来、所有者が変わっていくことで問題化してしまう可能性があります。

土地の境界があいまいな場合、この段階で測量を行い、境界を確定していくのがおすすめです。

なお、土地の境界を確定するには、隣地の所有者と立ち会いのうえ、境界の場所を決める必要があります。

4-2.再建築不可な土地に該当する

築年数が古い建物の場合、過去の法律には適合していたけれど、現在の法律には適合していないケースがあります。

例えば、建物を建てる際には、建築基準法により幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接道していないといけない「接道義務」が定められています。

建築時点では接道義務がなかったケースの場合、現在の法律に適合していなくても、撤去命令が出されるようなことはありません。

しかし、現在の建物を解体して建て替えすることはできないので注意してください。

また、建築確認の必要なリフォームもできません。

4-3.共有名義になっている

実家の空き家の持分が共有持分で、他に共有者がいるケースも注意が必要です。

共有持分者がいる場合、土地を活用したり、売却したりするのに共有名義人全員の合意が必要です。

共有名義の場合は、あらかじめどのような名義人がいるか確認しておくことが大切です。

まとめ

実家が空き家になったときの対処法は?

実家が空き家になったときの対処法には以下のような方法があります。

  1. 売却する
  2. 賃貸に出す
  3. 更地にして土地活用する
  4. 別荘にする
  5. 相続放棄する

詳しくは「1.実家が空き家になったときの5つの対処法」をご覧ください。

実家を空き家のままにしておくのにはどんな問題がある?

実家を空き家のままにしておくとさまざまなリスク・デメリットが生じます。

  • 固定資産税や都市計画税などの維持費がかかる
  • 老朽化することで資産価値が下がる
  • 近所に迷惑をかけてトラブルに発展してしまう可能性がある

詳しくは「2.実家を空き家のままにしておくリスク・デメリット」をご覧ください。

空き家の実家を相続するにはどうすればいい?

空き家の実家を相続する手続きは多岐にわたるため、あらかじめ押さえておきましょう。

  • 相続の発生~遺言の確認~相続人の確定
  • 遺産分割について決定する
  • 相続登記する
  • 相続税を納付する

詳しくは「3.空き家の実家を相続する手続き」をご覧ください。

実家の空き家で取り扱いが注意なケースは?

実家が空き家である場合、取り扱い注意なケースがあります。

  • 土地の境界があいまいなケース
  • 再建築不可物件であるケース
  • 共有名義になっているケース

詳しくは「4.実家の空き家で取り扱い注意なケース」をご覧ください。