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離婚時の家の査定方法とは?財産分与や売却のポイント・注意点【住宅ローンが残っている場合はどうする?】

最終更新日:2025.07.10

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離婚時の家の査定方法とは?財産分与や売却のポイント・注意点【住宅ローンが残っている場合はどうする?】

離婚時には住宅などの共有財産をどのように分けるかが重要な問題となります。

なかでも家の取り扱いは金額が大きく、感情面でも対立が起きやすいため慎重な対応が求められます。

こうした場面では、不動産の査定によって家の価値を客観的に把握し、公平な財産分与につなげることが欠かせません。

本記事では、離婚時における家の査定の必要性や進め方、売却・住み続ける場合の対応パターンまで実務に即した形でわかりやすく解説します。

離婚時に家の査定が必要になる理由

離婚時には婚姻期間中に取得した財産を公平に分ける「財産分与」が行われます。

家(不動産)は高額な共有財産であることが多く、その価値を正確に把握することが分与の前提となります。

特に住宅ローンが残っている場合やどちらか一方が住み続けるケースでは、査定額を基に持ち分や債務の清算方法を検討する必要があります。

また、不動産は現金と違って分けにくい資産であるため、査定によって時価を把握し売却や名義変更といった適切な手続きにつなげることが求められます。

離婚協議における家の査定の進め方

離婚時の不動産査定は、協議の初期段階で行うことが望ましいとされています。

まずは夫婦のどちらが主体となって動くかを明確にし、不動産会社に査定を依頼します。

査定方法には訪問査定と簡易査定がありますが、離婚協議においてはより正確な評価が求められるため、訪問査定を選ぶのが一般的です。

査定結果は財産分与や売却価格の目安として活用されますが、複数の不動産会社に依頼して相場を把握することも有効です。

なお、家の名義や住宅ローンの債務者が夫婦どちらか、または共有かによって今後の手続きも変わってくるため、査定後の対応も視野に入れて進める必要があります。

査定の依頼タイミングと方法

離婚に伴う家の査定は、財産分与の協議が本格化する前に実施するのが望ましいとされています。

なぜなら、査定額をもとに「売却するか」「どちらかが住み続けるか」といった判断を行う必要があるためです。

離婚調停や協議離婚の前段階で、不動産の価値を把握しておくことが円滑な話し合いにつながります。

査定の方法としては、主に不動産会社への訪問査定と一括査定サイトの利用があります。

一括査定サイトでは複数社から査定額を得られるため、相場を掴むうえで便利ですが、実務上は訪問査定で具体的な価格を提示してもらうことが、信頼性の高い判断材料となります。

家の査定後の対応の進め方

査定によって把握した家の価値をもとに、離婚後の対応は大きく3つのパターンに分かれます。

1つ目は、不動産を売却して得た代金を夫婦で分ける「売却分割」。2つ目は、どちらか一方が不動産を取得し、もう一方に金銭(代償金)を支払う「代償分与」。3つ目は、不動産を共有名義のまま維持する「共有継続」です。

もっともトラブルが少なく、第三者の関与も得やすいのが売却分割です。

ただし、住宅ローンが残っている場合や、相場より大幅に安いときには売却が難航することもあります。

一方、代償分与は資金力に差があると成立しにくく、共有継続は後々の管理・処分で揉めるリスクがあるため慎重な判断が必要です。

住宅ローンが残っている家の査定のポイント

離婚時に家の住宅ローンが残っている場合、その残債と査定額のバランスが重要な判断材料となります。

家の売却価格(査定額)がローン残高を上回っていれば売却によってローンを完済し、残額を分割することが可能です。

一方、査定額がローン残高を下回るオーバーローン状態では追加の支払い負担が発生するため、売却が困難になるケースもあります。

このような場合には金融機関と交渉して任意売却を行う、または離婚後も一方がローン支払いを継続する形で家に住み続けるなどの対応が検討されます。

ただし、名義や支払い責任の整理を行わないと後々トラブルに発展する可能性があるため、専門家の助言を受けながら慎重に対応する必要があります。

オーバーローン時の対処法

オーバーローンとは、家の査定額よりも住宅ローンの残債が多い状態を指します。

この状況で離婚に伴う売却を進める場合、差額分を自己資金で補填できないと任意売却が必要となります。

任意売却は、債権者(主に金融機関)の同意を得たうえで残債を抱えたまま家を売却する手続きです。

任意売却後も残債の返済義務は残るため、離婚協議ではその負担の分担方法を明確に決めておく必要があります。

また、任意売却には一定の時間と手続きが必要となるため、早めの対応が求められます。不動産会社や弁護士、金融機関との連携が不可欠です。

財産分与時の家の取扱い方法【3パターン】

離婚時における家の取り扱いは、財産分与の中でも特に重要な要素となります。

夫婦共有名義や片方の単独名義であっても、婚姻中に購入した家であれば原則として共有財産とみなされ、分与の対象になります。

このため、まず不動産の評価額を明確にする必要があり、査定額が財産分与の基準になります。

実勢価格(市場での売却想定額)を把握したうえで、基本的には現金化するか、一方が住み続けるか、いずれかの選択が必要です。

家を売却して現金を分ける方法

家を売却して得た金額を分配する方法は、最もシンプルかつ公平な財産分与の手段です。

不動産会社に仲介を依頼して市場に売却し、売却後に残った手取り額を夫婦で折半するのが一般的です。

ただし、売却には時間がかかる場合があり、離婚成立までに完了しないケースもあります。

住宅ローンが残っている場合は、売却額で完済できるかどうかの確認も不可欠です。

売却によってローンが完済できない「オーバーローン」の場合は、現金分与が困難になる可能性があるため注意が必要です。

一方が住み続ける方法

離婚後にどちらか一方が家に住み続ける場合、その家の名義や住宅ローンの扱いについて明確に取り決める必要があります。名義が共有であれば、もう一方から持分を買い取る「持分買取」の形をとることが一般的です。

また、住宅ローンが残っている場合は、ローン契約者の変更(債務者変更や連帯保証人の変更)について金融機関と調整する必要があります。名義変更やローンの組み替えが認められないケースでは、家に住み続けることが難しくなることもあります。

取り決めの内容は、後々のトラブルを防ぐためにも離婚協議書や公正証書に明記しておくのが望ましいです。

賃貸に出す・共有状態を維持する方法

家を手放さず、離婚後に第三者へ賃貸する方法もあります。この場合、得られる家賃収入を分配する形で財産分与の代替とすることが可能です。ただし、名義が共有のままであるため、賃貸契約や管理に関する協議・合意形成が継続的に必要になります。

また、修繕費や固定資産税などの負担割合についても明確にしておかないと、後々トラブルになりやすい点に注意が必要です。将来的に売却する可能性がある場合も、事前に売却条件を取り決めておくと安心です。

この方法は一時的な解決策として有効な場合もありますが、関係が続くリスクや管理上の煩雑さを考慮し、慎重な判断が求められます。

離婚時に家を売却する場合の注意点

離婚時に住宅を売却して現金化する方法は、公平な財産分与を実現しやすい一方で、注意すべき点も多く存在します。まず、売却価格が想定よりも低くなるリスクがあります。不動産市況や立地、築年数などの要因により、住宅ローンの残債を下回る価格でしか売れない可能性もあります。

また、売却までに時間がかかるケースでは、離婚後も一時的にどちらか一方が住み続けたり、住宅の管理責任を負う必要が出てきます。その間の維持費や固定資産税などの負担分についても、事前に合意を取っておくことが重要です。

さらに、売却益が発生した場合には、譲渡所得として税金が課される場合もあります。住宅ローン控除や特別控除などの適用条件についても確認しておく必要があります。

売却タイミングと名義・ローンの整理住宅ローンが残っている場合の取扱いは特に注意

離婚に伴って家を売却する場合、名義人と住宅ローンの契約者が誰かを明確にしておく必要があります。登記上の所有者と、ローンの支払義務を負う債務者が異なるケースでは、売却の手続きに双方の協力が不可欠となります。

また、売却タイミングによっては、住宅ローンの残債が売却金額を上回り、オーバーローン状態になることもあります。この場合、残債の処理方法(自己資金で補填するのか、任意売却とするのかなど)を事前に話し合っておくことが重要です。

名義変更や抵当権抹消といった登記手続きは、売却前後に必ず発生します。必要書類や司法書士の手配も含めて、スケジュールに余裕を持った対応が求められます。

離婚時に家を売らず住み続ける場合の注意点

離婚後も一方が住宅に住み続ける場合、不動産の名義や住宅ローンの契約状況に応じた対処が必要です。

たとえば、住宅ローンの契約者が家を出る側であれば、住み続ける側は家賃相当額を支払う「使用貸借」または「賃貸借契約」を結ぶなど、金銭的な整理を行うことが一般的です。

また、将来的な売却や相続を見据えて、不動産の名義変更(持分の譲渡)を行うケースもありますが、その際には贈与税が発生する可能性もあるため、税務面の確認が欠かせません。

住み続けることにより、固定資産税の支払い義務や住宅の維持管理責任も生じます。

双方が納得のうえで役割分担を明確にし、公正証書や離婚協議書などで合意内容を文書化しておくことがトラブル防止につながります。

名義とローンの引き継ぎ対応が必要な場合も

離婚後に一方が家に住み続ける場合、不動産の名義と住宅ローンの債務者を一致させることが基本的な対応方針です。名義とローンの持ち分が一致していないと、将来的な売却や担保処分の際にトラブルになる可能性があるためです。

たとえば、夫婦共有名義の家で住宅ローンも連帯債務になっているケースでは、住み続ける側が他方の持分を買い取る形で名義を一本化し、自ら単独で住宅ローンを借り換える対応が検討されます。

ただし、ローンの引き継ぎには金融機関の審査が必要であり、収入や信用状況によっては引き継ぎが困難なこともあります。

金融機関によっては、配偶者間の持分移転や債務引き継ぎに消極的な場合もあるため、事前に借入先と調整を行うことが重要です。

また、名義変更に伴い贈与税が発生するリスクもあるため、税理士等の専門家に相談するのが望ましい対応といえます。

使用貸借契約の注意点

離婚後、一方の配偶者が家に住み続けるが所有権は持たないケースでは、使用貸借契約(無償での使用貸し)という形式がとられることがあります。これは、家の所有者が元配偶者に無償で使用を許す契約形態です。

しかし、使用貸借契約は法的拘束力が弱く、所有者が明確な意思で契約を終了できる性質を持ちます。

そのため、離婚協議書や公正証書などで、使用期間・退去条件・家賃相当額の扱いなどを明記しておかないと、後にトラブルとなる可能性があります。

特に、子どもの養育を理由に居住を継続する場合でも、住宅ローンの支払い義務や固定資産税の負担が所有者側に偏る点に注意が必要です。

将来的な売却や名義変更を見据えるのであれば、使用貸借よりも名義変更や賃貸契約を活用する方法も検討されます。

ローン状況別の離婚時の家の取扱い

離婚時の住宅処分においては、家の査定額がローン残債を上回るか下回るかによって、取れる対応が大きく異なります。査定結果が「プラスの資産」か「オーバーローン(負債)」かを見極めることが、適切な財産分与や住居方針の決定に直結します。

また、査定額に応じて売却、住み続ける、賃貸に出すなどの選択肢が現実的かどうかも判断できます。正確な査定によって初めて、協議のスタートラインに立てると言っても過言ではありません。

以下では、査定額の状況ごとに異なる対応パターンを整理します。

査定額がローン残債を上回る場合(アンダーローン)

査定額が住宅ローンの残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、家を売却した際に得られる売却益でローンを完済し、残額を分割して分与することが可能です。たとえば査定額が3,500万円、ローン残債が2,500万円の場合、売却後に1,000万円の残金が得られます。

この場合、夫婦間で折半するなどの取り決めにより、公平な財産分与が実現しやすく、住み替えや新生活の資金に充てられる点が大きな利点です。

なお、売却にかかる仲介手数料や登記費用などを差し引いた正味の利益額を基に分配を行う必要があるため、実際の手取り金額を正確に見積もることも重要です。

査定額がローン残債を下回る場合(オーバーローン)

査定額が住宅ローンの残債を下回る「オーバーローン」の状態では、売却によって得られる金額だけではローンを完済できません。たとえば査定額が2,000万円で残債が2,500万円の場合、500万円の不足が生じます。

この不足分については、手元資金や親族からの借入、つなぎ融資などで補填しなければならず、離婚後の生活設計に大きく影響を及ぼす可能性があります。また、物件の引き渡しと同時にローン完済が条件となるため、金融機関との調整も必要です。

オーバーローン状態では、無理に売却せず、当面は賃貸に出す・どちらかが住み続けるといった対応策も視野に入れることが現実的です。

離婚時の家査定・売却は冷静な判断も必要

離婚に伴って自宅を査定・売却する際は、感情的な問題と並行して法的・実務的な対応も求められます。

不動産の名義や住宅ローンの状況を明確にしたうえで適切な査定方法を選び、売却後の資金分配までを見据えた計画が重要です。

協議の進行と並行して手続きを進める必要があるため、準備不足によるトラブルを防ぐためにも段階的かつ冷静な対応が求められます。

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

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