とはいえ、いまの家に住み続けるか住み替えるか、納得いく答えを出すのは難しいものです。
本記事では、以下のテーマを解説しているので
- そもそも耐用年数とは何か?
- 実際の家の寿命
- 耐用年数を過ぎた家に住み続けるためのコツ
耐用年数や住み替えに悩む方の参考になるでしょう。
今の家に「どれくらい住み続けることができるか」を見極めて、住み替えを検討しましょう。
「売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
目次
1.住宅の耐用年数とは何か?

住宅の耐用年数とは、不動産を売却するときの資産価値を示す指標です。
耐用年数は次の3つに分類できます。
- 物理的耐用年数……経年で材料や構造が物理的に劣化し、耐力がなくなる年数。販売者や製造者が独自に基準を設けていることが多い。
- 経済的残存耐用年数……不動産が経済的に稼働できる年数。収益用のアパートやマンションに用いられることが多い。
- 法定耐用年数……建物の資産価値がなくなるまでにかかる年数。国税庁により定められている。
個人の住宅の売買において、実際に指標として用いられるのは【3.法定耐用年数】が多くなります。
不動産は固定資産のため、減価償却が必要です(4.住宅の減価償却の計算方法で後述)。法定耐用年数は減価償却費を計算するために、材料別で以下のように指定されています。
■法定耐用年数一覧
建材材料名 | 耐用年数 |
---|---|
木造・合成樹脂造のもの | 22年 |
木骨モルタル造のもの | 20年 |
軽量鉄骨造(骨格材肉厚3㎜以下) | 19年 |
軽量鉄骨造(骨格材肉厚3㎜以上4㎜未満) | 27年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
耐用年数は不動産の価値を決める重要な指標であり、売却価格にも影響を与えます。また、売却するタイミングを判断する時にも役立ちますので、所有する住宅の耐用年数は把握しておくとよいでしょう。
2.【住宅構造別】家の寿命の目安

住宅の寿命は建物の構造によって異なります。
建物の構造別で見る一般的な寿命の違いは、次の表の通りです。
構造 | 寿命 |
---|---|
木造 | 30〜80年 |
鉄骨造 | 30〜60年 |
鉄筋コンクリート造 | 40〜90年 |
最も寿命が短いのは木造で30年〜80年、最も寿命が長いのは鉄筋コンクリート像の40〜90年と、法定耐用年数よりも長くなっています。
ヨーロッパや欧米などと比較すると、日本の住宅の寿命は短いと言えますが、理由は法定耐用年数にもあるといえます。現在、日本の住宅は法定耐用年数が過ぎると建物に価値がないと判断されるのが一般的ですので、土地の価値だけで価格が決まります。
そのため、長く持ち続けるよりも、更地にして新しく建物を立てる、あるいは売却する人が多いのです。
同じ構造で寿命に差があるのも同様の理由です。
3.住宅の耐用年数は物件種別で異なる

住宅の耐用年数は物件種別によって以下のように異なります。
物件種別 | 耐用年数 |
---|---|
木造一戸建て | 20〜22年 |
木造アパート | 20〜22年 |
マンション | 47年 |
それぞれ耐用年数が違う理由について解説します。
3-1.木造一戸建ての場合
木造一戸建ての寿命は、20年〜22年です。
20〜22年という年数は、通常の維持補修を前提として、経年により建物の価値がなくなるとされる年数です。
そのため、メンテナンスや補修など維持修繕工事をしっかり行い続ければ、22年を経過しても住み続けることは可能です。逆に、まったく維持管理費をかけていない場合は、もっと早いスピードで劣化が進むこともあるでしょう。
3-2.木造アパートの場合
木造アパートの寿命は20年〜22年です。
一戸建てと同じく木造ですので、耐用年数は同じです。ただし、木造一戸建てと比較して入れ替わりが頻繁に起きるので維持管理はより重要です。
しかし、維持修繕工事をしっかり行っていれば住み続けられる点も、木造一戸建ての場合と同じです。
3-3.マンションの場合
マンションの寿命は47年です。
マンションの場合は、多くが鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で建築されているため、寿命が木造より長くなります。
また、マンションの場合は品質を維持するために長期修繕計画が立てられ、その計画を基に修繕工事を行っていることが多いことも、耐用年数の長さに影響しています。
4.住宅の減価償却の計算方法

住宅の価値がどのように下落していくかは、減価償却を計算することで分かります。
ここからは、減価償却について、基本的な考え方と計算方法について解説していきます。
4-1.減価償却の基本的な考え方
減価償却の基本的な考え方は、資産は長期に渡って使われるもので資産の価値は年を経過するごとに減少し、最終的になくなるという考え方です。
実際、税金の課税にも減価償却の考え方が採用されています。不動産を売却するときに課税される譲渡所得税の計算でも、減価償却を用いて税額を計算します。
4-2.減価償却は2つの方法で計算できる
償却を計算する方法は、定額法と定率法の2つの方法があります。
定額法とは、毎年同額の減価償却費がかかると仮定して、一定金額で建物価値が減少していく計算方法です。
定額法の計算方法は、次の通りです。
定率法とは、償却していない残高に対して、毎年決められた償却率を掛けて減価償却をする方法です。
定率法は定額法と違い、1年ごとに支払う減価償却費は少なくなっていきます。
定率法の計算方法は、次の通りです。
定額法や定率法についての計算方法や内容は、国税庁ホームページに記載されている「定額法と定率法による減価償却」で詳しく知ることができます。
5.耐用年数を過ぎた家に住み続けるためのコツ

住宅は耐用年数を過ぎても住み続けることができますが、住み続けるには以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 定期的なメンテナンスで安全性を保つ
- 設備を新しいものに取り替える
- 売却を検討している場合は相場を把握しておく
ここからは、耐用年数を過ぎた家に住み続けるポイントを紹介していきます。
5-1.定期的なメンテナンスで安全性を保つ
耐用年数を過ぎても、定期的なメンテナンスを行えば、住宅の安全性を保つことができ、耐用年数を超えても住み続けられます。
主な点検部位や点検項目については以下の通りです。
点検部位 | 主な点検項目 | 更新・取替えの時期 | |
---|---|---|---|
屋根 | 瓦ふき | ずれ、はがれ、浮きなど | 20年で全面ふき変え |
外壁 | サイディング | 割れ、欠損、はがれなど | 15年で全面補修 |
雨桶 | 破損、つまり、はずれなど | 7年で全面取り替え | |
軒裏 | 軒裏天井 | 腐朽、雨漏り、はがれなど | 15年で全面取り替え |
開口部 | 屋外に面する開口部 | 建具周辺のすき間など | 20年で全面取り替え |
配管設備 | 給水管 | 漏水、赤水など | 20年で全面取り替え |
排水管 | 漏水、つまりなど | 20年で全面取り替え |
出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅に係る認定基準技術解説」
メンテナンスは専門の会社に依頼するので費用がかかりますが、放置して破損してしまったらメンテナンスするよりも費用がかかってしまうので、定期的に実施しましょう。
5-2.設備を新しいものに取り替える
老朽化した設備を新しいものに取り替えることにより、今まで通り住み続けることができます。
設備ごとに寿命がありますが、給湯器や水回り、空調などそれぞれの設備ごとでおおよその寿命があります。
各設備の寿命の目安は次の通りです。
- 家庭用給湯器:10年
- エアコン:10年
- トイレ:10年
- 洗面台:15年
- キッチン:15年
設備にはメーカー保証が付いているケースがあるため、保証期間内に故障したときには保証を利用してメーカーに修理の問い合わせをしてみましょう。
5-3.売却を検討している場合は相場を把握しておく
耐用年数を超えた家を売却するときには、土地の相場や建物の解体相場を把握しておきましょう。
更地にして売る場合は、土地の相場とあわせて解体費用の相場を把握しておかなければなりません。
土地の相場や解体費用の相場を把握するには、不動産会社の査定を受けることをおすすめします。不動産会社の査定を受けることにより、正確な土地価格を知ることができます。解体費用がどれくらいかかるのかについては、査定のときに併せて確認してみましょう。
不動産会社への査定依頼は、一括査定サイト「IELICO(イエリコ)」を活用してください。
「IELICO(イエリコ)」は、国内初の不動産の一括査定サービス「不動産売却HOME4U(ホームフォーユー)」での20年の実績を元にした審査基準を設けているので、利用者にとって最適な不動産会社を提案してくれます。
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この記事のポイント
詳しくは「1.住宅の耐用年数とは何か?」をご確認ください。
詳しくは「2.【住宅構造別】家の寿命の目安」をご参考ください。
詳しくは「3.家の寿命は物件種別で異なる」をご参考ください。
- 定期的なメンテナンスで安全性を保つ
- 設備を新しいものに取り替える
- 売却を検討している場合は相場を把握しておく
詳しくは「5.耐用年数を過ぎた家に住み続ける場合のポイント」をご参考ください。
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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