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不動産買取のトラブル・失敗事例とは?主な注意点とリスクを回避する方法

最終更新日:2025.07.17

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不動産買取のトラブル・失敗事例とは?主な注意点とリスクを回避する方法

不動産を早く・確実に売却できる方法として注目されている「不動産買取」ですが、すべてがスムーズに進むとは限りません。

特に知識がないまま手続きを進めてしまうと、価格面や契約内容、引き渡し後の対応において思わぬトラブルに発展するリスクがあります。

買取はスピードや手間の少なさがメリットである反面、業者任せにすると不利益を被る可能性もあるため、事前に起こりやすいトラブルのパターンや注意点を把握しておくことが重要です。

ここでは、不動産買取で実際に起こりうるトラブルの代表例を紹介しながら、原因や防止策についても解説していきます。

不動産買取で起こりやすいトラブルとは

不動産の買取に関するトラブルは、主に査定額・契約内容・業者対応の3つに分類されます。

特に多いのは、査定時に聞いていた金額と実際の契約金額が異なるパターンや、契約内容の説明が不十分なまま手続きを進めてしまったことによるトラブルです。

また、対応が曖昧な業者や連絡が途絶えるケース、契約後に一方的な条件変更を求められる事例も報告されています。

トラブル1】査定額と実際の買取額が違う

不動産買取で最も多いトラブルの一つが、査定時に提示された金額と、契約時に提示された実際の買取額が異なるというケースです。

特に「仮査定」の段階では、高めの金額を提示して契約を誘導し、最終的な現地調査後に減額する手法が一部の業者で見られます。

減額の理由としては「建物の劣化が想定より進んでいた」「再販売にコストがかかる」「近隣環境にマイナス要素があった」などが挙げられますが、最初から減額を前提としていた悪質なケースも存在します。

このような事態を防ぐには、初期の査定が「仮査定」か「本査定」かを確認し、価格の根拠や変更の条件を事前に明示してもらうことが重要です。

また、複数社に査定を依頼して比較することで、不当な価格操作を見抜く手助けになります。

トラブル2】契約内容の説明不足

不動産買取におけるトラブルの中には、契約内容が十分に説明されないまま手続きが進んでしまうケースも少なくありません。

特に重要事項説明や契約条件に関する理解不足は、後々の誤解やトラブルの原因となります。

たとえば、「引き渡し時期が思っていたより早かった」「残置物の撤去を売主が行うことになっていた」「売却後も税金が発生する負担があった」といった問題が、契約締結後に初めて発覚することがあります。

こうしたリスクを避けるためには、契約書の内容を一言一句確認し、不明点があれば納得いくまで質問する姿勢が大切です。

また、宅建士による重要事項説明を形式的に済ませず、しっかりと理解する意識も欠かせません。

トラブル3】買取業者との連絡が取れない・急な対応変更

買取業者とのやり取りの中で、途中から急に連絡が取れなくなる、または条件を一方的に変更されるといったトラブルも報告されています。

特に契約直前や引き渡し直前に音信不通になるケースは、売主にとって非常に大きなストレスとなります。

また、「当初の条件では買い取れない」「別の物件が優先になった」などと理由をつけて価格や引き渡し条件を変更される例もあり、こうした対応は業者の誠実性に大きく疑問が残ります。

このような問題を防ぐには、事前に会社の評判や口コミ、実績を確認し、連絡手段が明確であるかをチェックすることが基本です。

担当者が頻繁に変わる業者や、契約の進行が曖昧なまま進む業者は避けるべきです。

不動産買取のトラブルの原因になりやすい要素

不動産買取におけるトラブルは、単なる偶然ではなく、いくつかの共通した要因や落とし穴が背景にあることが少なくありません。

売主側の注意不足や、業者の不誠実な対応、またはスピード重視の姿勢が問題を引き起こすきっかけとなることもあります。

悪質な買取業者の存在

不動産業界には誠実な業者が多く存在する一方で、意図的に誤解を招く説明や不利な契約を提示する業者も一部存在します。

こうした悪質業者は、売主の知識不足や時間的な焦りにつけ込み、条件面で著しく不利な取引を強引に進める傾向があります。

典型的な手口としては、「今すぐ決断しないと価格が下がる」「この金額は今日だけ」などと過度なプレッシャーをかけて即決を促すケースがあります。

また、査定時と契約時の価格差や、口頭説明と契約書内容の不一致なども要注意です。

このようなトラブルを避けるには、宅建業免許の有無や企業の評判、過去のトラブル事例の有無を確認することが有効です。とくに設立間もない会社や、情報がほとんど出てこない業者は慎重に対応するべきです。

売主側の確認不足・書面の未確認

不動産買取におけるトラブルの多くは、売主自身の確認不足や契約内容の把握不足によって引き起こされます。

価格や条件に納得したつもりでも、書面での記載と齟齬があった場合、後から不利な条件で拘束されてしまうことがあります。

とくに多いのが、引き渡し時期や瑕疵担保責任(契約不適合責任)の取り扱い、残置物処理などの細かい条件が口頭でしか確認されておらず、契約書に記載されていないためにトラブルになるパターンです。

こうしたリスクを防ぐためには、契約書や重要事項説明書を必ず自分で確認し、不明点があれば遠慮なく担当者に質問することが不可欠です。

また、契約前に第三者(専門家)に相談するのも有効です。

買取スピード重視による見落とし

不動産買取の最大のメリットはスピーディーに現金化できる点ですが、スピードを優先するあまり、重要な確認や比較を怠ってしまうことでトラブルにつながるケースも少なくありません。

たとえば「できるだけ早く売りたい」「急いで資金が必要」という状況下では、複数業者に査定を依頼する時間を惜しんだり契約書を十分に読まずに押印してしまったりと、売主側の判断が甘くなりがちです。

しかし、こうした焦りが原因で相場より極端に安い価格で売却したり、不利な契約条件を飲んでしまうことは避けるべきです。

スピードと安全性のバランスを取ることが、トラブル回避のために最も重要な視点となります。

不動産買取トラブルの実例

不動産買取に関するトラブルは、実際の取引現場でもたびたび発生しています。

中には契約後のキャンセルや価格変更といった重大な問題に発展し、売主が精神的・経済的なダメージを被るケースもあります

ここでは、よくあるトラブルの代表的な事例を取り上げ、どのような経緯で問題が起こったのか、どのような点に注意すべきだったのかを整理します。

具体的な事例を知ることで、同じような状況に陥るリスクを未然に防ぐことができます。

買取価格が大幅に下げられた事例

ある売主は、複数の買取業者に仮査定を依頼したところ、ある1社から最も高額な査定額を提示されました。

提示額は市場相場の約85%と好条件だったため、詳細な説明を受けないまま契約手続きに進んでしまいました

しかし現地調査の後、業者から「構造に想定以上の劣化が見つかった」「近隣の騒音問題で資産価値が下がる」などの理由を告げられ、当初の査定額から15%以上減額された価格を提示されることに。

売主は他社への再依頼も間に合わず、そのまま契約せざるを得ませんでした。

このように査定額が仮であることを見抜けなかったことと、他社との比較が不十分だった点が、結果的に不利益を招いた要因となりました。

仮査定と本査定の違いを明確にし、価格の内訳を必ず確認することが重要です。

契約後にキャンセルされたケース

売主が契約書を交わし引き渡し日も決定していたにもかかわらず、直前になって業者側から一方的に契約をキャンセルされたという事例もあります。

理由としては「社内審査に通らなかった」「資金調達が難航した」などとされることが多く、納得のいく説明がないまま取引が破談となるケースがあります。

このようなケースでは売主が別の買主との交渉機会を失っている場合もあり、経済的損失や精神的負担が大きくなります。また、引越しや買い替えなどを前提にしていた場合、予定が狂う影響も深刻です。

対策としては、契約時に「キャンセル時の違約金」や「解約条件」を書面で明確にしておくことが重要です。

口約束だけでは保護されないため、契約書の条項を慎重に確認し、不利な条件になっていないか確認する必要があります。

リースバック後の立ち退き要求トラブル

近年利用が増えている「リースバック」は不動産を売却した後も同じ物件に賃貸として住み続けられる仕組みですが、このスキームに関するトラブルも発生しています。

特に多いのが売却後すぐに立ち退きを求められる、もしくは短期間で退去期限を設定されるといった事例です。

ある事例では、売主が「長期間住み続けられる」と聞いてリースバック契約を結んだにもかかわらず、契約書には1年更新の賃貸契約と明記されており、更新拒否により退去を余儀なくされたというケースがありました。

このような問題を防ぐには賃貸契約の期間・更新条件・中途解約条項などを必ず確認することが重要です。

口頭説明と契約書に食い違いがないかを確認し、不安がある場合は契約前に専門家へ相談することも検討すべきです。

不動産買取のトラブルを防ぐために注意すべきこと

不動産買取に関するトラブルは、あらかじめいくつかのポイントに注意しておくことで十分に回避可能です。特に、業者の信頼性や契約書の内容確認、情報収集の姿勢がトラブル防止に直結します。

ここでは、買取手続きを進める前に売主が意識すべき注意点を3つの視点から紹介します。いずれも簡単な対策で大きなトラブルを未然に防げるため、必ずチェックしておきたい項目です。

複数社に査定依頼して比較する

不動産買取でトラブルを防ぐ第一歩は、複数の業者に査定を依頼し、価格や条件を比較することです。一社だけの査定結果に頼ってしまうと、提示された価格や説明内容が妥当かどうかを判断できません。

特に、仮査定と本査定での価格差や、契約条件の違いは業者ごとに大きく異なります。複数社の意見を聞くことで、不自然な価格設定や不利な条件に気づきやすくなるのが大きなメリットです。

最近では、買取専門の一括査定サイトを利用することで、短時間で複数業者からの提案を受けることが可能です。情報収集の段階から比較する姿勢を持つことで、適正価格での取引と信頼できる業者選定につながります。

重要事項説明書や契約書を丁寧に確認する

買取トラブルを回避するうえで最も基本的かつ重要なポイントは、契約書や重要事項説明書の内容を自分で丁寧に確認することです。

書面に記載された内容がすべての取引条件となるため、口頭説明と異なる記載があれば、後からの主張は通らない可能性が高くなります。

たとえば、買取価格・引き渡し日・違約金・キャンセルポリシー・残置物の扱いなど、具体的な条件が書かれている箇所は見落としのないようチェックすべきポイントです。

また、「更新あり」「退去条件あり」などの文言にも注意が必要です。

内容に不安がある場合は、宅建士に質問するか、不動産に詳しい第三者に確認を依頼するのも良い方法です。

「よく分からないが押印してしまった」は最も危険な行動のひとつといえます。

宅建業免許の有無や口コミを確認する

買取業者を選ぶ際には、その業者が宅地建物取引業の免許(宅建業免許)を正式に取得しているかどうかを必ず確認しましょう。

免許番号や管轄の都道府県庁・国土交通省の情報は、業者のホームページや名刺に記載されているのが通常です。

免許の確認に加えて、インターネット上の口コミ・評判・取引事例などを事前に調べておくことも有効です。

特に「査定後に減額された」「契約後の対応が悪かった」といったネガティブな評価が複数見られる場合、その業者との取引は慎重になるべきです。

また、企業規模だけでなく、担当者個人の対応力や誠実さも重要な判断基準です。初回の問い合わせ時点での対応や説明の丁寧さから、信頼性の高い業者かどうかを見極める手がかりになります。

不動産買取でトラブルが発生したときの対処法

どれだけ注意していても、予期せぬ形でトラブルに巻き込まれることもあります。

そのような場合でも、冷静かつ適切に対処することで被害の拡大を防ぐことが可能です。

不動産買取トラブルの対応には、専門機関への相談・契約内容の再確認・法的対応など、複数の手段があります。

ここでは、実際にトラブルが起きたときに取るべき具体的な行動について、3つの方法に分けて紹介します。

対処法1】宅建協会や消費生活センターへ相談する

不動産取引でトラブルが発生した場合は、まずは公的な相談機関に連絡することが有効です。

代表的な機関として、取引相手が加盟している宅地建物取引業協会(宅建協会)や、各自治体の消費生活センターなどが挙げられます。

宅建協会では宅建業者との取引に関する苦情や紛争についての相談窓口を設けており、内容に応じて指導や斡旋(あっせん)などの対応を行ってくれます。

宅建免許を持つ業者であれば、多くがいずれかの協会に所属しています。

消費生活センターでは不動産だけでなく契約・サービス全般に関する相談が可能で、トラブルの整理や次の対応方法のアドバイスを受けることができます。

相談は無料で、電話や対面、メールで対応している自治体もあります。

対処法2】契約書の内容に基づいて冷静に対応する

トラブルが発生した際、感情的に対応してしまうと、かえって状況が悪化する可能性があります。

重要なのは、まず契約書や重要事項説明書の記載内容を冷静に確認し、どちらに正当性があるかを把握することです。

たとえば「キャンセルは不可」と記載されている場合、業者が一方的に解約を申し出るのは契約違反にあたります。

また、引き渡し条件や価格調整の有無についても、書面に明文化されていれば法的根拠として主張可能です。

そのうえで、まずは文書やメールなど記録に残る方法で交渉することが望ましく、第三者機関への相談や法的対応に進む前の段階として、円満解決を目指す姿勢も大切です。

対処法3】法的手続き(弁護士・訴訟)も検討する

話し合いや第三者機関による調整でも解決が難しい場合、法的手段に訴えることが最終的な対応策となります。

具体的には、弁護士への相談・内容証明郵便の送付・民事訴訟の提起などが挙げられます。

弁護士に相談することで契約内容の法的な有効性や業者の対応の正当性について判断を仰ぐことができ、必要に応じて相手方と直接交渉してもらうことも可能です。

また、調停や訴訟に発展した場合も代理人として対応してくれます。

費用面の負担は発生しますが、損害の程度が大きい・対応が極めて不誠実である・交渉が行き詰まっているといったケースでは早期に弁護士へ相談することでトラブルの収束を図ることができます。

信頼できる不動産買取業者の選び方

不動産買取においてトラブルを回避する最大のポイントは、最初の業者選びで信頼できる相手を見極めることです。

契約書や条件に気を配ることはもちろんですが、そもそも誠実な業者を選べば、そうしたトラブルの発生自体を大きく減らすことができます。

ここでは買取業者を選ぶ際に注目すべき判断基準として、実績・制度・対応力の3つの観点からチェックすべきポイントを整理します。

選び方1】実績・口コミ・許認可などをチェックする

信頼できる不動産買取業者を選ぶ際は、まず過去の買取実績や顧客からの口コミ評価をチェックすることが基本です。

公式サイトに掲載されている事例や、ポータルサイトのレビュー、SNSの声などを参考にすることで、業者の実力や評判をある程度把握できます。

また、宅建業免許番号が正しく表記されているか、いつ取得されたかを確認するのも重要です。

免許の更新年月や管轄庁の名称から、事業歴の長さや信頼性を読み取ることができます。

さらに、不動産関連団体への加盟状況(全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会など)や、専門サイトでの認定マークなども参考になります。情報公開が少ない業者、実績が曖昧な業者は避けるのが賢明です。

選び方2】買取保証制度や価格保証の有無をチェックする

信頼性の高い不動産買取業者は明確な価格保証や買取保証制度を設けていることが多く、これが業者選定の重要な判断材料となります。

こうした制度があることで、契約直前での価格変更やキャンセルなどのトラブルを防ぎやすくなります。

たとえば、一定期間内であれば査定価格を維持する「価格保証」や、仲介で売れなかった場合にあらかじめ決めた価格で買い取る「買取保証」などが代表的です。

制度の詳細は業者によって異なるため、内容と条件をよく確認する必要があります。

このような保証制度を明示している業者は、透明性が高く、売主への説明責任も果たす意識があることが多いため、安心して取引しやすいといえます。

契約前には必ず制度の有無と利用条件を確認しましょう。

選び方3】担当者の対応姿勢・説明力をチェックする

信頼できる業者かどうかを見極めるうえで、担当者の第一印象や応対の丁寧さ、説明の分かりやすさは非常に重要です。

どれだけ会社としての実績があっても、現場対応する担当者の力量次第で取引の満足度は大きく変わります。

たとえば、契約条件を曖昧にせず具体的に説明してくれるか、リスクについても誠実に話してくれるかなどは、誠実な担当者の重要な特徴です。

反対に、「すぐ決めてください」「細かいことはあとで」といった強引な対応が見られる場合は注意が必要です。

質問に対するレスポンスの早さや、メールや書面のやり取りが丁寧かどうかといった点も含めて、安心して任せられる担当者かどうかを見極めることがトラブル回避につながります

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

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