本記事では、マンション売却とローン返済の関係性を丁寧に紐解きながら、売却前に確認すべきポイント、売却手続きの流れなどをわかりやすく解説します。
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目次
ローン残債のあるマンションを売却する際のポイント
ポイント1】ローン残高と一括返済の条件を確認する
マンションを売却する際、最初に確認すべきは現在のローン残高と返済条件です。
金融機関から「返済予定表」や「残高証明書」を取り寄せることで、残債額・返済期間・金利タイプ(固定金利・変動金利)を正確に把握できます。
この情報は、売却価格でローンを完済できるかどうかを判断する基礎となります。
また、売却時には「一括繰上げ返済」の扱いとなるため、金融機関によっては「繰上げ返済手数料」が発生する点にも注意が必要です。加えて、ローンの一括返済はイレギュラーな手続きとなるため、必ず事前に確認が必要です。
ポイント2】抵当権の有無と抹消手続き
住宅ローンを利用して購入したマンションには、金融機関によって「抵当権(ていとうけん)」が設定されています。
抵当権とは、ローンの返済が滞った場合に、金融機関がその不動産を差し押さえて返済に充てられる権利のことです。
マンションを売却する際には、この抵当権を抹消しなければ、買主に所有権を移転することができません。
抵当権の抹消は、売却代金でローンを完済したタイミングで行うのが一般的で、司法書士が登記手続きを代行します。
なお、金融機関から「ローン完済証明書」や「抵当権抹消書類(解除証書など)」を受け取り、法務局で正式に抹消登記を行う必要があります。
抵当権抹消にかかる費用は数千円から1万円程度ですが、司法書士に依頼する場合は報酬を含めて1万〜2万円ほどを見込んでおくと安心です。
ポイント3】査定価格(売却見込価格)がローン残債を上回るか
マンション売却では、「売却価格」と「ローン残債」のバランスを確認することが最も重要なポイントです。
まず、不動産会社に査定を依頼し、複数の業者から提示された査定額の平均を算出します。そのうえで、現在のローン残高と比較し、売却代金で完済できるかどうかをシミュレーションします。
売却価格がローン残高を上回る場合は完済が可能で、手元に資金が残る「アンダーローン」の状態です。
反対に、売却価格が残債を下回る場合は「オーバーローン」となり、完済のために自己資金が必要になります。
ポイント4】税金・費用を含めた手残りがいくらになるか
マンションを売却する際には、ローン返済以外にもさまざまな諸費用や税金が発生します。
主な費用としては、仲介手数料・登記関連費用(抵当権抹消登記や司法書士報酬)・印紙税・引越し費用などが挙げられます。
これらの合計は売却価格の約3〜5%が目安とされており、ローン完済後にどれだけの資金が手元に残るかを見積もる際に必ず考慮する必要があります。
また、売却益が発生した場合は「譲渡所得税」が課される可能性があります。ただし、居住用財産であれば「3,000万円特別控除」などの税制優遇措置が適用できるケースもあり、税額を大幅に軽減できることがあります。
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ローン残債のあるマンションを売却する流れ
Step1】媒介契約・査定依頼
マンションの売却を進める最初のステップは、不動産会社への査定依頼と媒介契約の締結です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定価格や販売戦略を比較検討することで、相場感を把握できます。
媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれに販売活動の自由度や報告義務の違いがあります。
住宅ローンが残っている場合は、売却価格がローン残債を上回るかどうかを踏まえて媒介契約を選ぶことが重要です。
また、この段階で不動産会社から「ローン残債の完済見込み」や「決済時の流れ」について説明を受け、金融機関との連携がスムーズに取れるよう準備を進めます。
Step2】買主との交渉と条件設定
査定結果と販売活動を経て購入希望者が現れたら、次に行うのが価格や契約条件の交渉です。
住宅ローンが残っている場合、売却価格は「ローン残債を完済できる金額」を最低ラインとして設定するのが基本です。
価格交渉では、買主の提示価格がローン残高を下回る場合、自己資金を追加して完済する必要があるため、資金計画を慎重に立てることが求められます。
また、引き渡し日や決済方法、付帯設備の引き継ぎ条件なども事前に明確にしておくことが大切です。
交渉段階では、不動産会社が仲介役となって条件調整を行うため、ローン返済スケジュールや抵当権抹消のタイミングについても担当者と密に確認しておくと安心です。
Step3】売買契約の締結と手付金受領
条件交渉がまとまったら、正式に売買契約を締結します。
この時点で、買主から「手付金」が支払われるのが一般的で、金額は売買価格の5〜10%程度が目安です。
契約書には、売却価格・引き渡し時期・決済方法・契約解除の条件・違約金などが明記され、双方が署名・押印することで効力を持ちます。
住宅ローン付きのマンションを売却する場合は、金融機関との返済手続きや抵当権抹消の段取りも同時に確認しておく必要があります。
また、契約後にキャンセルが発生した場合は、買主・売主のいずれが原因かによって「手付金の放棄」または「倍返し」といったペナルティが適用される点にも注意が必要です。
Step4】決済・引き渡し
売買契約が成立したら、「決済・引き渡し」を行います。
この日に買主から売却代金が支払われ、その資金をもって住宅ローンを一括返済し、抵当権の抹消手続きを行うのが一般的な流れです。
決済には売主・買主・不動産会社・金融機関・司法書士が同席し、同日に所有権移転登記と鍵の引き渡しが完了します。
ローン返済は通常、金融機関が受領した売却代金の一部を自動的に充当する形で行われ、残額が売主の口座に振り込まれます。
完済後は、金融機関から「抵当権解除書類」や「完済証明書」を受け取り、司法書士が法務局にて正式な抹消登記を行います。
マンションの売却価格でローン返済できない場合のリスク
売却価格が住宅ローン残高を下回る「オーバーローン」の状態になると、売却後に残債が残ってしまうという問題が生じます。
この場合、所有権を買主に移転するために抵当権を抹消できず、通常の売却手続きが成立しません。
結果として、売却を進めたくても金融機関の同意が得られない、または決済が完了できないといった事態に陥ることがあります。
また、残債を自己資金で補えない場合、信用情報に影響を与える「延滞」や「債務整理」に発展する可能性もあります。
さらに、オーバーローンを抱えたまま次の住宅購入を検討することは難しく、住み替え計画にも支障が出るケースが多く見られます。
オーバーローン状態のマンションを売却する方法
自己資金を使って不足分を補う
売却価格が住宅ローン残高を下回る場合、不足分を補うために自己資金などから返済代金を捻出する必要があります。
例えば、ローン残債が2,000万円、売却代金が1,000万円であれば、単純計算でもう半分の1,000万円は貯蓄などから捻出しなければいけません。
この金額が大きくなりすぎると経済的にもリスクが大きいので、注意する必要があります。
任意売却をおこなう
オーバーローン状態のマンションを売却する選択肢のひとつとして「任意売却」があります。
任意売却とは、金融機関の同意を得て、市場価格に近い金額で物件を売却し、競売よりも有利な条件で債務を整理する方法です。
競売に比べて売却価格が高くなる傾向があるため、残債をより少なくできるメリットがあります。
ただし、任意売却は対応している不動産会社が少ないのと、原則ローン滞納が続き、もう返済ができないという状態でなければ、金融機関に認められることはほとんどありません。
ローン残債のあるマンションを売却する際に失敗しないポイント
マンションを住宅ローン付きで売却する際は、複雑な手続きや税務処理が関係するため、事前準備と確認が欠かせません。
小さな見落としが後々のトラブルや損失につながることも多いため、売却前・契約前・決済前の各段階で確認すべき項目を整理しておくことが重要です。
以下のチェックリストを参考に、自分の状況に照らし合わせて準備を進めていきましょう。
- ローン残高・金利・返済条件を最新情報で確認しているか
- 抵当権の抹消に必要な手続き・費用を把握しているか
- 売却価格と残債の差額(アンダーローン/オーバーローン)を試算したか
- 諸費用(仲介手数料・印紙税・登記費用など)を見積もっているか
- 買主の資金計画と決済スケジュールを確認しているか
- 税制優遇(3,000万円特別控除・住宅ローン控除など)の適用可否を確認したか
- 保証人・共有名義人の同意を得ているか
- 売却後の住まいと資金計画を立てているか
- 複数の不動産会社から査定を取り、条件を比較したか
- 専門家(税理士・司法書士・FP)へ相談済みか
- 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
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この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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