不動産の売却方法には、買取と仲介という方法があります。
買取は手間なく早く売却できる方法で、仲介では売れにくい不動産でも売却しやすい特徴があります。
いずれの売却方法でも業者(不動産会社)選びは重要で、売却価格や期間に影響します。
この記事では、買取での売却に特化した業者選びについて解説しています。
まずは1章で、買取と仲介の違いを正しく理解して、売却の計画を立てていきましょう。
「売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
1.不動産買取とは?仲介との違い

不動産買取とは、転売を目的とした買取業者に市場価格よりも低い価格で売る方法です。早く売れますが、売却価格は安くなるという特徴があります。
一方で、仲介とは、一般の買主に直接市場価格で売る売却方法です。高く売れますが、売却までに時間がかかります。
不動産買取と不動産仲介と比較すると下表のようになります。
項目 | 買取 | 仲介 |
---|---|---|
価格 | 市場価格の7~8割 | 市場価格 |
売却期間 | 早くて数日~1週間 | 3~6ヵ月 |
仲介手数料 | 無し | 有り |
仲介での売却方法については『不動産売却の全体的な流れ|7つのステップを押さえよう』
2.不動産買取は『即時買取』か『買取保証』

不動産買取には2種類ありますので、まずそれぞれの違いを理解する必要があります。
この章では不動産買取の種類について解説します。
- 即時買取
- 買取保証
2-1.即時買取
即時買取とは、不動産会社と直接取引し、即時に買取を行ってもらう方法です。
条件が良ければ、最短数日~1週間ほどで引き渡しと現金化ができます。
早急に現金化しなければいけない場合や、転勤などで時間がない人におすすめの方法です。
2-2.買取保証
買取保証とは、一定期間仲介での売却を行い、期限までに売れなかった場合に不動産会社に買取してもらう方法です。
ある程度の時間的余裕があるものの、特定の期限までに確実に売却したい人におすすめの売却方法になります。
買取保証は、必ずしもすべての買取業者が行っているとは限りません。
3.買取業者の選び方5つのポイント

買取業者の選び方には、コツがあります。
この章では、買取業者の選び方の5つのポイントを解説します。
- 対象となる物件種別とエリアを確認する
- 現金化までの期間を確認する
- 付随サービスを確認する
- 必ず複数の買取業者に査定を依頼する
- 基本的には一番高い査定価格の会社を選ぶ
3-1.対象となる物件種別とエリアを確認する
買取業者を選ぶには、対象となる物件種別とエリアを確認することがポイントです。
買取業者によっては得意・不得意な物件種別があるためです。
(物件種別とは、マンションや戸建てといった不動産の種類のことを指します。)
中にはマンション専門で買取を行う業者もいるため、自分の売りたい物件種別を取り扱っている会社なのかを調べましょう。
また、買取業者の立場からすると、買取は地域の相場に精通していないとなかなかできないビジネスです。高く買い過ぎてしまうと転売時に損をしてしまうため、通常、買取業者は対象エリアを自分たちが相場をしっかり把握しているエリアに絞っています。
1つの市や周辺の隣接市町村など、小さく限定した地域密着型の業者が多いため、売りたい不動産のエリアを対応しているか確認することも重要です
3-2.現金化までの期間を確認する
買取を利用する方のほとんどは、現金化までの速さを重視しています。
現金化までの期間は業者によって異なり、「翌日も可能」としている会社もあれば、「2週間程度」としている会社もあります。
また、翌日可能としている会社でも、「物件によっては」と断り書きをしているケースもあります。
急いで現金が必要という方であれば、いつ現金化できるかを確認したうえで業者を決定しましょう。
3-3.付随サービスを確認する
付随サービスを確認することも、買取業者を選ぶ上で重要です。
多くの買取業者では、「家財道具をそのままの状態で買い取る」といった付随サービスを設けています。ただし、一部の買取業者は家財道具が残ったままでは買い取らない会社もあるので、念のため確認することが望ましいです。
また、希に売却して現金を受け取った後、しばらくしてから引っ越すことができるサービスを設けている会社もあります。
現金入金後にすぐに引っ越しをしなくてよいのであれば、利用者にとっては非常に便利です。現金はすぐにでも欲しいけど、引っ越し先が決まっていないような人は、売却後に引っ越し可能なサービスを行っている会社を探してみても良いと思います。
付随サービスではありませんが、事故物件等を積極的に扱っている会社もあります。事故物件は、場合によっては買取業者に断られてしまうことも多いです。難しそうな案件であれば、事故物件等を積極的に扱っている会社を探すというのも適切といえます。
【よくあるサービス例】
- 家財道具をそのままの状態で買い取る
- 事故物件でも買い取る
- 買取までの期間を売主の都合に合わせる
- 買取保証も選択できる
3-4.必ず複数の買取業者に査定を依頼する
買取は仲介と違い、買取業者の出す査定額がそのまま売却価格となります。
そのため、複数の業者に依頼し、査定額を比較することが重要です。
一社一社それぞれ査定依頼をしていくのは大変ですので、不動産一括査定サービスの利用がおすすめです。
不動産一括査定サービスなら、一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼ができます。
中でもIELICO(イエリコ)では2,100社の厳選された不動産会社にのみ査定を依頼でき、依頼前に提携不動産会社の口コミまでチェックできます。
簡単に優良な不動産会社を比較できるので、ぜひご利用ください。
3-5.基本的には一番高い査定価格の会社を選ぶ
前項でも触れましたが、買取の場合は査定価格がそのまま売却価格となるため、基本は最も高い査定額の業者を選ぶべきです。
ただし、高い査定額を出したにも関わらず、その金額では買い取らないといった悪質業者もいるようです。
手口としては、売買契約までの間に不測の修繕費用等が発覚した場合には、その金額を減額して最終的に価格を下げるといったことが考えられます。
査定書に記載されている注意書きをよく確認することが、回避方法となります。
4.注意が必要な買取業者の特徴

悪質業者には、共通して見られる特徴があります。
注意が必要な買取業者の特徴について解説します。
4-1.他社との比較をさせようとしない
他社との査定価格を比較させようとしない買取業者は避けるべきです。業者は他社と比較されると価格競争となってしまうため、他社と比較されることを嫌がります。
言葉巧みに他社と比較する前に契約させようとする業者もいます。
そのため、初めから複数の買取業者に査定を依頼しておくことをお勧めします。
4-2.自社で直接買い取らない
世の中の不動産会社がすべて買取業務も行っているわけではありません。
買取業務を行わない業者の中には、買取業者に仲介することで仲介手数料や、紹介料を受けとろうとする業者もいます。
買取であれば本来払う必要のない仲介手数料が発生してしまうため注意が必要です。
まるで「自社で買取」かのように話を進めようとする業者もいますので、担当者へ直接の確認や、契約書の確認は徹底するようにしましょう。
4-3.長時間居座って強引な営業をする
悪徳業者の中には、夜中まで長時間居座って強引な営業をする会社もあります。特に高齢者をターゲットとしており、中には根負けして本当に売買契約を締結してしまう人もいるようです。
しつこい営業をしてくるようは会社であれば、避けた方が良いといえます。
5.買取と仲介はどちらが良い?

買取と仲介はどちらを選ぶべきなのでしょうか。
買取と仲介を選ぶポイントについて解説します。
5-1.買取に向いているケース
以下のようなケースが買取に向いているといえます。
5-1-1.早く確実に現金化したい
早く確実に現金化しなければいけない場合は、買取を選択しましょう。
仲介での売却は、一般的に3~6か月の期間を要します。
運よく、売り出しから1か月以内に買手が見つかったとしても、各種手続きを合わせると2か月はかかるでしょう。
買取の場合は、最短で数日~1週間程度で現金化できます。
また、買取を実施する業者さえいれば、確実に売却できます。
5-1-2.重大な瑕疵がある物件
瑕疵(かし)とは、取引の対象が通常有するべき性質を欠いている状態のことです。
例えば、雨漏りやシロアリ被害などの欠陥も瑕疵に含まれます。
瑕疵は買手に告知しなければいけないため、仲介では売れにくく、必要に応じて瑕疵の改善が必要になります。
一方買取の場合は、買取業者が修繕や建て直しを行うことを前提に行われるので、瑕疵がある場合でもそのまま売却できます。
ただし、建て直しが必要な物件は、修繕で対応できる物件より業者側のコストが増えるため、買取価格が低くなります。
5-1-3.解体やリフォームが必要なほど劣化している物件
仲介では解体やリフォームが必要な物件でも、買取では不要となります。
理由は、前項でも解説した通り、買取業者が修繕や建て直しを行うためです。
解体費用やリフォーム費用は百万円単位でかかる高額な支出です。
買取にすれば売却価格こそ安くなりますが、支出が減らせるため、まとまったお金が手元にない人にもおすすめです。
解体費用について詳しくは『 家の解体費用の相場|費用を抑える方法と解体前に注意しておきたいポイント! 』をご覧ください
5-2.仲介に向いているケース
以下のようなケースが仲介に向いているといえます。
5-2-1.売却にかける時間が十分ある
売却にかける時間が十分ある場合には、仲介に向いています。
手間はかかりますが、仲介のほうが高く売却できるためです。
仲介で売るには、目安として3~6ヵ月程かかります。
売り急いで無理な値下げをしないためにも、1年ほど余裕があるとなおいいでしょう。
5-2-2.築浅・立地がいいなど魅力ある物件
築浅・立地がいいなど魅力ある物件は、仲介でも早く売れます。
買取ほど早くはないものの比較的短期間で売れるため、買取を選択する必要性は低いといえます。
例えば、都内の駅近マンションの場合は1~2ヵ月程度で売れることもあります。
5-2-3.住宅ローンが残っている物件
住宅ローンが残っており、仲介の売却価格でないと一括返済できない場合は仲介が適しています。
不動産を売却するには、原則的に住宅ローンを完済する必要があり、売却する際は売却金額を合わせて引き渡しと同時に完済しなければいけません。
買取価格で住宅ローンを完済できない場合は、そもそも売却ができないことを覚えておきましょう。
仲介における不動産会社の特徴や売却の仕組みについては『 「不動産仲介業者」とは?利用するメリットや選び方を解説 』をご覧ください
この記事のポイントまとめ
いかがでしたか。
不動産買取業者の選び方や注意が必要な買取業者の特徴等について解説してきました。
- 不動産買取とは不動産会社に対して早く売ることができる売却方法のことです。
- 売却価格は仲介に比べると安くなります。
詳しくは「1. 不動産買取とは?仲介との違い」をご覧ください。
詳しくは「2.不動産買取は『即時買取』か『買取保証』」をご覧ください。
- 対象となる物件種別とエリアを確認する
- 現金化までの期間を確認する
- 付随サービスを確認する
- 必ず複数の買取業者に査定を依頼する
- 基本的には一番高い査定価格の会社を選ぶ
詳しくは「3.買取業者の選び方5つのポイント」をご覧ください。
- 他社との比較をさせようとしない会社
- 自社で直接買い取らない会社
- 長時間居座って強引な営業をする会社
詳しくは「4.注意が必要な買取業者の特徴」をご覧ください。
- 安くても早く売りたい人は買取がおすすめ
- 時間がかかっても高く売りたい人は仲介がおすすめ
詳しくは「5.買取と仲介はどちらが良い?」をご覧ください。
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
カンタン1分入力
最大6社にまとめて 売却査定依頼
人気記事
- 新築マンションを高く売却するコツとは?売るタイミングや買ったばかりで売る注意点も解説
- 2025年問題まであと2年!不動産は本当に大暴落するの?今後の不動産売却のタイミングは?
- 【2023年10月導入】不動産賃貸の大家さん必見!インボイス制度の全貌と今やるべき対策を完全解説
- 抵当権抹消登記を自分でやってみたい!手順と注意点
- 不動産売却で確定申告を行う手順・必要書類・税金の計算方法
- 家の売却でやってはいけないこと8選!失敗・後悔しないためのポイントを紹介
- 不動産登記簿は無料で閲覧できるのか?取得方法と書き方を解説
- 【2023年更新】最新の路線価発表状況からみる動向
- 全国地価マップの見方!価額が表示されない地域の調べ方も解説
- 住宅ローン返済中の家を売るには?売却方法や離婚・引越し時の注意点・完済できない時の対処法