土地を相続したものの、相続税がかかるかどうか、かかるとしたらどのくらいになるか見当がつかずお困りではありませんか?
相続税の課税を調べるためには、評価額と呼ばれる「土地の時価」を知ることが必要です。
この記事では、相続した土地の評価額の調べ方や減額される例について解説します。
これを読めば、相続した土地の価値がわかり、相続の手続きがスムーズに進められるでしょう。
「売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
目次
1.相続した土地の評価額を決める2種類の方法

土地の評価額とは、土地の時価のことです。
土地の評価額は目的によって、以下の6つに分類されます。
【評価額の種類】
- 実勢価格:過去に取引された価格
- 公示価格:国土交通省が定める1平米の価格
- 路線価:相続税や贈与税に使われる価格
- 固定資産税評価:固定資産税の計算に使われる価格
- 基準地価:各都道府県が定める1平米の価格
- 不動産鑑定評価額:不動産鑑定士が鑑定した価格
上記のうち、土地の評価額を算出するために使用するのは路線価です。
路線価を求める方法は2種類あります。
- 路線価方式
- 倍率方式
詳しく見ていきましょう。
1-1.路線価方式
路線価とは、毎年国土交通省が発表している土地の1平米の価格です。
路線価が設定されている地域の評価額を調べる方法が「路線価方式」です。
路線価方式を使用して土地の価値を算出する際には、路線価に土地の面積を乗じて算出します。
たとえば路線価は21万円で土地面積が100平米だった場合、相続税評価額は以下の通りです。
路線価は国税庁の「路線価・評価倍率表」で、土地面積は登記簿謄本で確認できます。
1-2. 倍率方式
路線価が設定されていない地域もあります。
路線価が設定されていない場合は、「路線価方式」で評価額を調べることはできません。
そのため、このような路線価が定められていない地域の評価額は「倍率方式」で調べます。
倍率方式で土地の価値を算出する場合は、以下のように土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて算出します。
例えば、固定資産税評価額が5,000万円、倍率1.1倍の土地の路線価は「5,000万円×1.1」の5,500万円となるのです。
なお固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税の納税通知書で確認できます。
参照:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
2. 相続した土地の評価額の調べ方

相続した土地の評価額を調べる場合には、まず路線価図で路線価を確認する必要があります。
路線価図に路線価が記載されていれば路線価方式、記載されていなければ倍率方式で土地の評価額を調べるといったように、状況に応じて計算方式を使い分けます。
2-1. 路線価方式で土地の評価額を調べる3ステップ
路線価方式で土地の評価額を調べる方法は、以下の3つのステップです。
- 固定資産税の納税通知書を確認する
- 登記簿謄本を確認する
- 路線価方式で計算する
STEP1. 固定資産税の納税通知書を確認する
固定資産税の納税通知書とは、毎年4~6月に市区町村からその年の1月1日時点の不動産の所有者に対して送付される固定資産税の納税に関する書類です。
固定資産税の納税通知書には、固定資産税や都市計画税の納税額だけではなく、土地の面積が記載されています。
路線価方式で計算する際は、土地の面積を使用するので固定資産税の納税通知書で面積を確認します。
STEP2. 登記簿謄本を確認する
登記簿謄本とは、対象の不動産の所有権が誰にあるか、所有権以外の権利関係、所在や面積などが記載されている書類です。
土地を共有している場合は、自身の持分を確認する必要があります。
登記簿謄本には持分割合が記載されているので確認しておきましょう。
登記簿謄本は現在登記事項証明書と呼ばれており、不動産の所有者でなくても、法務局で取得できます。
STEP3. 路線価方式で計算する
土地の面積がわかった後は、以下の手順で路線価を計算します。
- 路線価図・評価倍率表にアクセスする
- 路線価を調べたい都道府県を選択する
- 路線価図を選択する
- 市区町村リストから路線価を調べたい市区町村を選択する
- 調べたい場所の路線価を確認する
調べた路線価に各種補正率と面積をかけて土地の評価額を算出します。
2-2. 倍率方式で土地の評価額を調べる3ステップ
倍率方式で土地の評価額を調べる方法は、次の3つのステップです。
- 必要な書類を確認する
- 倍率表で評価倍率を確認する
- 倍率方式で計算する
順を追って見ていきましょう。
STEP1. 必要な書類を確認する
固定資産税の納税通知書には、納税額や面積以外に、固定資産税の算出に使用した土地の固定資産税評価額が記載されています。
固定資産税評価額とは、3年に1回見直しが行われる固定資産税の計算に使われる価格です。
倍率方式の計算に必要なので、納税通知書に記載された固定資産税評価額を確認しましょう。
土地を共有している場合には、路線価方式と同様、登記簿謄本で持分割合を確認します。
STEP 2. 倍率表で評価倍率を確認する
路線価図・評価倍率表で調べたい市区町村まで入力すると、市区町村の倍率表を調べることができます。
倍率方式で評価額を算出する際は、必ず市区町村の倍率が必要になるので確認しましょう。
STEP 3. 倍率方式で計算する
固定資産税評価額と倍率がわかった後は、固定資産税評価額に倍率をかけると評価額が算出されます。
3. 相続した土地の評価額が減額される例

相続税の基礎控除額は、相続税法によって以下の計算式で算出されます。
3,600万円以下であれば、相続税はかかりません。
課税対象となった場合は、相続税の負担を軽減できないかと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
土地の評価額は、以下の4つのケースに該当する場合は評価が下がります。
- 貸家
- 借地
- 小規模宅地
- 不整形地
- 広大な土地
詳しく見ていきましょう。
3-1. 貸家
アパートや貸家の敷地に使われている土地は「貸家建付地」といい、通常の相続税評価額と計算式が異なります。
貸家建付地の評価額は以下のように計算します。
自用地は一般的な自己所有の土地のことです。
上記の計算式では必ず自用地評価額よりも貸家建付地の評価額が低くなるので、土地の評価額を下げることができます。
自用地としての価額は通常の相続税評価額を指します。
借地権割合とは各エリアに設定されている借地権価額の割合であり「路線価・評価倍率表」で確認できます。
借地権割合は「210D」のようにアルファベットで記載されています。
各アルファベットの借地権割合は以下の表を参考にしてください。
アルファベット | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
借家権割合は全国一律で30%です。
賃貸割合とは対象不動産を賃貸に出している床面積の割合であり、空室率・稼働率とは異なる点に注意しましょう。
計算式は以下の通りです。
例えば、全10室のアパートのうち稼働している8室の合計面積が240平米で、空室2部屋の合計面積が80平米の場合、賃貸割合は「240平米÷320平米=75%」となります。
3-2. 借地
借地とは、地主から借りている土地のことです。
借地の場合、借地権割合に応じた減額が受けられます。
借地権の評価額は以下の計算式で算出します。
前述の通り、借地権割合はA〜Gの7つに分かれており30〜90%に設定されています。
例えば、土地の相続税評価額が3,000万円であり、借地権割合が60%であれば「3,000万円×60%=1,800万円」となります。
ただし、借地のなかでも定期借地権や一時使用目的の借地権の評価方法は異なるため、詳しくは国税庁のサイトをご確認ください。
3-3. 小規模宅地
小規模住宅地に該当し一定の要件を満たす場合、最大80%の減額を受けられます。
小規模宅地等の特例を受けられる土地は大きく分けて以下の3種類です。
- 被相続人が住んでいた土地
- 被相続人が事業をしていた土地
- 被相続人が貸していた土地
それぞれの減額される割合は以下の表を参考にしてください。
相続開始の直前における利用区分 | 具体例 | 限度面積 | 減額される割合 |
---|---|---|---|
被相続人が住んでいた土地 | 自宅マンションの土地 (特定居住用宅地等) |
330平米 | 80% |
被相続人が事業をしていた土地 | 不動貸付業以外の事業で使用していた土地 (特定事業用宅地等) |
400平米 | 80% |
被相続人が貸していた土地 | 賃貸マンションの土地 (特定同族会社事業用宅地等・貸付事業用宅地等) |
200〜400平米 | 50〜80% |
※参考:国税庁『相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)』
適用を受けるにはさまざまな要件があるため、詳細は国税庁のサイトをご確認ください。
3-4. 不整形地
不整形地とは、三角形や台形などのように、利用しにくい形状をした土地です。
正方形や正方形に近い長方形のような整形地よりも利用価値が低いという理由から、不整形地補正率を使って評価額の減額を受けられます。
例えば、普通住宅地区の場合、奥行きの長さによって0.8〜1.0の補正率を掛けて算出します。
各種補正率は国税庁のサイトで確認できます。
しかし計算方法や判断基準が複雑であるため、専門家への依頼するのがおすすめです。
3-5. 広大な土地
500平米以上の地積規模の広大な宅地は評価額が減額されます。
計算式は以下の通りです。
規模格差補正率の計算式は以下の通りです。
BとCに関しては以下の表を参考にしてください。
【三大都市圏に所在する宅地】
地積 | 普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区 | |
---|---|---|
B | C | |
500平米以上 1,000平米未満 |
0.95 | 25 |
1,000平米以上 3,000平米未満 |
0.90 | 75 |
3,000平米以上 5,000平米未満 |
0.85 | 225 |
5,000平米以上 | 0.80 | 475 |
【三大都市圏以外の地域に所在する宅地】
地積 | 普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区 | |
---|---|---|
B | C | |
1,000平米以上 3,000平米未満 |
0.90 | 100 |
3,000平米以上 5,000平米未満 |
0.85 | 250 |
5,000平米以上 | 0.80 | 500 |
※参考:国税庁『地積規模の大きな宅地の評価』
三大都市圏とそれ以外の地域で面積の基準や適用される数値が異なる点に注意しましょう。
4.相続した土地の売却額の相場を知りたいなら一括査定が便利!

不動産の価値は、景気や需要などによってリアルタイムで変動します。
そのため、売却相場を知りたい場合は、不動産の専門家である不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
不動産会社に査定を依頼する際には、1社だけで十分と考えている方もいると思いますが、1社だけでは不十分です。
不動産会社によって査定結果は異なるため、複数社に依頼し、査定結果や自身で算出した評価額と比較することが大切です。
複数社に査定を依頼する際に便利なのが、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「IELICO(イエリコ)」です。
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査定依頼の際はぜひイエリコをご活用ください。
この記事のポイントまとめ
相続した土地の評価額は、路線価図に路線価が記載されている場合は路線価方式で算出します。
記載されていない場合の算出方法は倍率方式です。
【路線価方式を算出する流れ】
- 固定資産税の納税通知書を確認する
- 登記簿謄本を確認する
- 路線価方式で計算する
【倍率方式を算出する流れ】
- 必要な書類を確認する
- 倍率表で評価倍率を確認する
- 倍率方式で計算する
詳しくは「2.相続した土地の評価額の調べ方」をご覧ください。
相続した土地の売却額を知りたい場合には、不動産会社に査定を依頼します。
1社だけに査定を依頼した場合、その査定結果が正確かどうか判断できないため、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
複数社に査定を依頼する手間と時間を省きたい方には「IELICO(イエリコ)」がおすすめです。
詳しくは「4.相続した土地の売却額の相場を知りたいなら一括査定が便利!」をご覧ください。
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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