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マンションを相続放棄するとどうなる?注意点や流れを詳しく解説!

最終更新日:2023.07.24

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マンションを相続放棄するとどうなる?注意点や流れを詳しく解説!

マンションの相続が発生した、もしくは近い将来に発生する可能性がある方のなかには、相続放棄を検討している方もいるのではないでしょうか。相続放棄する場合は他の相続財産もすべて放棄する必要がある点に注意が必要です。

この記事では、相続放棄の流れや注意点を解説します。この記事を読めば、相続放棄の仕組みを理解でき、相続放棄以外の選択肢や他の相続人と話し合っておくべきことがわかるので、今後の計画を立てられます。

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1.マンションの相続は放棄できる

マンションの相続は放棄できる

マンションの相続でも相続放棄は可能性です。

ただし、相続を放棄する場合はすべての相続財産を放棄する必要があり、マンションだけの相続放棄はできません。
例えば、現金や車だけを相続し、マンションだけを放棄することはできません。

プラスの財産、マイナスの財産(借金など)を含めたすべての相続権利を放棄するのが、相続放棄だという点に注意しましょう。

また3章で詳しく解説しますが、放棄された財産は他の人が相続し、管理していきます。
相続人間でトラブルを起こさないためにも、関係者でしっかりと話しあって決めるようにしましょう。

2.マンションの相続放棄で回避できること

マンションの相続放棄で回避できること

マンションを相続すると金銭的な負担や維持管理のための労力がかかります。相続したマンションに住み続ける場合は生活に必要な支出や労力として割り切れますが、空き家として残しておく場合は負担が重いと感じやすいでしょう。

相続放棄は、そうした負担を回避できます。
この章では、相続放棄によって回避できる以下2つの負担について解説いたします。

  • 相続に関する税金
  • マンションを維持する手間や費用

相続放棄に十分なメリットがあるのか確認していきましょう。

2-1.相続に関する税金

マンションを相続すると以下2つの税金が課されます。

  • 登録免許税
  • 相続税

登録免許税とは不動産の所有権移転登記をする際に課される税金であり、計算式は以下の通りです。

登録免許税:課税標準(固定資産税評価額)×0.4%

例えば、マンションの固定資産税評価額が土地1,000万円、建物500万円の場合、相続時にかかる登録免許税は6万円です。

登記を司法書士に依頼する場合は別途司法書士報酬を支払う必要があります。

相続税は、すべての相続財産の合計額に税率をあてて計算します。
ただし、相続財産の合計額が基礎控除の範囲内であれば相続税は課されません。基礎控除の計算式は以下の通りです。

基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは民法で定められた「被相続人の財産を相続する権利を持つ人」です。仮に法定相続人が2人いる場合、相続財産4,200万円までは非課税扱いとなります。

一般的に、相続では基礎控除の範囲内に収まるケースが多く、実際に相続税が課されるケースは少ないのが実態です。

基礎控除額を超えた分には、以下の税率がかかります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

※引用:国税庁『相続税の税率』

例えば、法定相続人が子ども2名のみ(兄弟で法定相続分は各1/2)で、相続財産の総額が5,000万円の場合、相続税は以下のように求めます。

  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2=4,200万円
  • 課税遺産総額:5,000万円-4,200万円=800万円
  • 兄の相続税:800万円×1/2×10%=40万円
  • 弟の相続税:800万円×1/2×10%=40万円

相続放棄をするべきか判断するためにも、相続税をシミュレーションしてみましょう。

なお、相続税の申告を税理士に依頼する場合、別途依頼費用がかかります。費用は税理士によって異なりますが、課税遺産総額の0.5〜1%程度です。

2-2.マンションを維持する手間や費用

マンションを相続すると、以下のような維持管理の手間と費用がかかります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理費・修繕積立金
  • 管理組合の役員や理事

マンションを所有している限り、毎年固定資産税や都市計画税を納める必要があります。
それぞれの計算式は以下の通りです。

【本則】

  • 固定資産税:課税標準(固定資産税評価額)×1.4%
  • 都市計画税:課税標準×0.3%(最大)

上記はあくまでも本則の税率であり、要件を満たしている土地は住宅用地の特例措置で軽減が受けられます。

詳しくは、『東京都主税局:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』をご覧ください。

管理費・修繕積立金はマンションや部屋の広さによって異なりますが、2021年(令和3年)度の首都圏の平均額は以下の表の通りです。

月額管理費 平米あたりの管理費 月額修繕積立金 平米あたり修繕積立金
12,321円 191円 11,164円 173円

※参考:東日本不動産流通機構『首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金』

管理費や修繕積立金は築年数の経過によって値上がりする場合があります。
一般的に値上げの計画はマンションの長期修繕計画に記載されているため、事前に確認してください。

管理組合の役員や理事が輪番制の場合は、所有しているだけでもいずれ順番が回ってくるでしょう。
遠方に住む場合は非常に負担になるので、マンションの管理規約で役員や理事の選抜方法を事前に確認しておきましょう。

3.相続放棄されたマンションはだれが管理するのか

相続放棄されたマンションはだれが管理するのか

相続放棄を選択した場合、そのマンションをだれが管理するのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。結論として、他の法定相続人の有無などによっていくつかのパターンに分けられます。

ここでは、相続放棄をした場合のパターンを詳しく解説します。

3-1.基本は次の順位の相続人

マンションの相続を放棄した場合、他の相続人がマンションを管理することになります。相続には順位があり、順位が高い方から低い方に相続権が移転するためです。

相続の順位は以下の図を参考にしてください。

※引用:法務局『法定相続人』

例えば、配偶者が既に他界しており相続人が子のみの場合、子が相続放棄すると第2順位である父母に相続権が移転します。仮に、第2順位の方も相続放棄をした場合は、第3順位の方に相続権が移転する仕組みです。

3-2.全員が相続放棄したら相続管理人

すべての法定相続人が相続放棄した場合、相続管理人が相続財産の管理を行います。相続管理人は相続人が見当たらない相続財産を管理し、最終的に国庫に帰属させる役割があります。

相続管理人の選任から国庫に帰属するまでの流れは以下の通りです。

  1. 家庭裁判所へ相続管理人選任の申し立て
  2. 家庭裁判所による相続財産管理人の選任
  3. 相続財産の調査・管理
  4. 相続債権者や受遺者に対する請求申出の公告
  5. 相続債権者・受遺者に対する弁済
  6. 相続人捜索の公告
  7. 特別縁故者に対する相続財産分与
  8. 相続財産管理人に対する報酬付与
  9. 残余財産の国庫帰属

上記のような流れで進み、最終的に残った相続財産は国庫に帰属します。

なお、マンションなどの現物資産は現金化したうえで国庫に帰属するのが一般的です。

3-3.相続管理人決定までは相続人

相続管理人が選定されたマンションは最終的に国庫に帰属します。しかし、相続管理人が選定されるまでは、マンションの管理義務は法定相続人にあります。

そのため、マンションの管理組合とのやり取りや室内の点検などは継続して行わなければなりません。なお、相続管理人が選定される時期は不明である点にも注意が必要です。

相続放棄しても管理責任は継続することを認識しておきましょう。

4.マンションを相続放棄する際の注意点

マンションを相続放棄する際の注意点

マンションは相続放棄できることや、相続放棄をした後の管理について解説しましたが、マンションを相続放棄する際は以下のような注意点があります。

  • マンションだけ相続放棄はできない
  • 相続放棄するには期限がある
  • 他の相続人とも相談する

これらの注意点を踏まえずに相続放棄するとトラブルが発生する可能性もあるため、内容を押さえておきましょう。

4-1.マンションだけ相続放棄はできない

相続を放棄することはできますが、マンションのみの相続放棄はできません。

相続放棄ではすべての相続財産を放棄しなければならないためです。相続する場合は資産だけでなく負債も相続するため、事前に資産や負債を把握しておきましょう。

負債が多く相続で借金を負ってしまう場合は、相続放棄に大きなメリットがあります。一方で、資産のほうが多い場合、マンションを相続したくないという理由で相続放棄を選択すると、資産も手放すことになるので注意してください。

4-2.相続放棄するには期限がある

相続放棄する場合、相続開始後(相続開始を知った日から)3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述書を提出する必要があります。

手続きを行わずにいると単純承認したとみなされる点に注意しましょう。単純承認を含めた相続の種類は以下の通りです。

  • 単純承認:資産・負債をすべて相続する方法
  • 限定承認:資産の範囲内で負債を相続する
  • 相続放棄:相続財産をすべて放棄する(相続人でなかったことになる)

限定承認する場合も、相続開始後3ヶ月以内に相続人全員で家庭裁判所へ申述書を提出する必要があります。また、相続放棄と異なり単独では行えない点に注意しましょう。

なお、相続財産の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に申し立てをすると期限を延長してもらえる可能性があります。

4-3.他の相続人とも相談する

相続放棄は単独で行えますが、他の相続人と相談せずに行うのはトラブルの原因となります。

相続放棄をすると相続順位が下位の方に相続権が移転します。
事前相談なしに相続権が移転すると、半ば強引に相続を押し付けられたような形になり、親族間で争いが生じるケースも少なくありません。

トラブルを避けるためにも、相続放棄したい場合は相続に関わる人に相談しましょう。

5.マンションの相続放棄を進める流れ

マンションの相続放棄を進める流れ

ここでは、マンションの相続放棄を進める流れを解説します。相続放棄の具体的な流れは以下の通りです。

  • 他に相続人がいるか調べる
  • 被相続人の資産・負債を調べる
  • 相続放棄するかどうか決める

5-1.他に相続人がいるか調べる

相続が発生した際は、自分以外に相続人がいるかを調べましょう。

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なためです。
遺産分割協議をした後に他の相続人が現れた場合は再度協議しなければなりません。

相続人を調べるためには、被相続人の戸籍謄本が必要です。
婚前に子どもいた場合などもあるため、必ず戸籍謄本をチェックしましょう。

相続放棄する場合は相続順位が下位の方へ相続権が移転するため、親族の関係も把握しておく必要があります。

5-2.被相続人の資産・負債を調べる

他の相続人を調べた後は、被相続人の資産と負債を調べましょう。

現金や有価証券、マンション、ローンだけでなく貴金属なども該当します。
マンションは権利関係や評価額が重要であるため権利証(登記識別情報通知)や登記簿謄本、固定資産評価証明書を確認する必要があります。

相続か相続放棄か判断するためにも、すべての資産・負債を把握してください。

5-3.相続放棄するかどうか決める

相続財産の状況を見て、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかの方法を選びます。

相続放棄は撤回できないため慎重に判断しましょう。なお、相続財産の評価額を正確に把握するのは困難であるため、相続放棄の手続きも含めて専門家に依頼するのが賢明です。

専門家に依頼した場合の費用目安は以下の表の通りです。

項目 費用
相続放棄の申述書に添付する印紙代 800円
被相続人の戸籍謄本 450円
被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本 750円
被相続人の住民票 300円(自治体によって異なる)
申述人の戸籍謄本 450円
郵便切手 1枚84円(持参の場合は1枚のみ)
行政書士報酬 5,000円程度〜
司法書士報酬 30,000円程度〜
弁護士報酬 50,000円程度〜

専門家への依頼費用は、依頼内容や依頼する専門家によって異なります。

6.相続放棄せず売却する方法もある

相続放棄せず売却する方法もある

資産が負債を上回る場合は、マンションを一度相続した後に売却するのも選択肢の一つです。相続後なるべく早い段階で売却できれば、管理費や修繕積立金などのランニングコストも抑えられます。

また、マンションのように分割できない資産は、売却して現金化したうえで分割する方法(換価分割)も主流です。マンションを維持する手間や費用に不安を感じている方は売却も検討してみましょう。

マンションの売却を成功させる方法|流れ・費用・注意点

なお、売却する場合はいくらで売れるのかが重要です。
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この記事のポイントまとめ

マンションは相続放棄できるの?

マンションは相続放棄できます。しかし、相続放棄する場合はマンションだけでなくすべての相続財産を放棄しなければなりません。詳しくは「1.マンションの相続は放棄できる」をご覧ください。

マンションを相続放棄するメリットは?

マンションを相続放棄すると金銭的な負担や労力がかからなくなります。具体的には以下の2つです。

  • 相続に関する税金
  • マンションを維持する手間や費用

詳しくは「2.マンションの相続放棄で回避できること」をご覧ください。

相続放棄されたマンションはだれが管理するの?

マンションを相続放棄した場合、基本的には次の順位の相続人が管理します。すべての相続人が相続放棄した場合は相続財産管理人が管理し、最終的に国庫に帰属します。詳しくは「3.相続放棄されたマンションはだれが管理するのか」をご覧ください。

マンションを相続放棄する際の注意点は?

マンションを相続する際の注意点は以下の通りです。

  • マンションだけ相続放棄はできない
  • 相続放棄するには期限がある
  • 他の相続人とも相談する

詳しくは「4.マンションを相続放棄する際の注意点」をご覧ください。

マンションを相続放棄する流れは?

マンションを相続放棄する流れは、以下の通りです。

  • 他に相続人がいるか調べる
  • 被相続人の資産・負債を調べる
  • 相続放棄するかどうか決める

詳しくは「5.マンションの相続放棄を進める流れ」をご覧ください。

相続放棄以外に選択肢はある?

資産が負債を上回る場合は、一度相続してから売却するのも選択肢の一つです。

詳しくは「6.相続放棄せず売却する方法もある」をご覧ください。

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

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マンションを相続放棄するとどうなる?注意点や流れを詳しく解説!

この記事では相続放棄の流れや注意点を解説します。相続放棄の仕組みを理解できるため、相続放棄以外の選択肢や他の相続人と話し合っておくべきことがわかり、今後の計画を立てられます。