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相続税路線価と固定資産税路線価の違いとは?それぞれの特徴や調べ方を解説

最終更新日:2023.04.11

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相続税路線価と固定資産税路線価の違いとは?それぞれの特徴や調べ方を解説

土地の1平米あたりの価格(単価)を表す路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があります。
相続税路線価は相続税、固定資産税評価額は固定資産税を計算する際の元となる価格です。
両者は別の税金のために存在することから、単価の水準等も異なります。

相続税路線価と固定資産税路線価にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、相続税路線価と固定資産税路線価の違いや、計算方法を簡単に説明しています。

売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。

1.相続税路線価と固定資産税路線価の違い

相続税路線価と固定資産税路線価の違い

路線価とは、道路(路線)ごとに振られた土地の価格です。
不動産の価値を計算する際(税金を計算する時など)に用いられます。

まずは、2つの路線価の違いを表で確認し、その後に詳しい解説をいたします。

比較項目 相続税路線価 固定資産税路線価
求められる評価額 相続税評価額 固定資産税評価額
目的の税金 相続税、贈与税 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税
評価主体 国税庁 市町村(東京23区は東京都)
評価頻度 毎年 3年に1回
価格時点 1月1日 基準年(3年ごと)の1月1日
公表時期 毎年7月ごろ 基準年の4月ごろ
表示単位 千円/平米 円/平米
価格水準 公示価格の80%程度 公示価格の70%程度

1-1.求める評価額・税金

土地と接する路線価を元に家の価値(評価額)が求められます。

相続路線価で求められる相続税評価額は、相続税の算出に使われます。
固定資産税路線価で求められる固定資産税評価額は、固定資産税の算出に使われます。

これから相続をされる方は『 家の相続から名義変更までの手順!かかる税金やトラブルを回避するポイント 』もご覧ください

1-2.誰がいつ調査し発表するのか

相続税は国税であるため、相続税路線価の評価主体は国です。
相続税路線価は毎年更新されます。
相続税路線価の公表時期は7月です。

固定資産税は市町村税であるため、固定資産税路線価の評価主体は市町村(東京23区は東京都)です。
固定資産税路線価は3年に1度しか更新されません。
固定資産税路線価の公表時期は4月です。

いずれの路線価も、その年の1月1日時点の土地価格を表しています。

1-3.公示価格に対する価格水準

相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度です。どちらも1月1日時点の公的な土地価格である、公示価格をもとに計算された価格となっています。

次章で詳しく解説しますが、公示価格が判明すれば、相続税路線価と固定資産税路線価の目安額は計算できます。

2.公示価格や実勢価格との乖離

公示価格や実勢価格との乖離

不動産の価値を表す評価額には、ほかにも公示価格実勢価格などがあります。

公示価格や実勢価格、相続税評価額、固定資産税評価額は、いずれも同じ土地を評価できますが、価格には大きく差があります。

次の項目から、それぞれの価格の概要と価格差(乖離)につていの解説をいたします。
まずは、それぞれの価格の差を画像で確認してみましょう。

価格の概要と価格差

2-1.公示価格との乖離

公示価格とは、国土交通省が毎年発表している土地の価格です。
全国約26,000地点の基準点(評価の基準としている場所)を調査し、全国の地価を測定しています。

相続税路線価や固定資産税路線価は、公示価格をもとに、さらなる調査や調整を加えて、価格を算出しています。

最終的には、相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度になる価格で決められます。

2-2.実勢価格との乖離

公示価格は、時価相当額とされていますが、実際の時価である実勢価格とは乖離があります。

都市部では乖離の幅が広く、実勢価格は公示価格の1.5~2倍程度になることもあります。一方で、地方では乖離の幅が狭く、実勢価格は公示価格の1.0~1.1倍程度の水準です。

公示価格は相続税や固定資産税等の税額に影響するため、急激な上下の変動が起きないよう、いくらかの調整が施されています。
そのため、取引が活発で時価の変動が激しい都心部では、公示価格と実勢価格の間におおきな解離が生まれのです。

公示価格は、都市部では上げにくく、地方では下げにくい傾向にあります。

3.路線価どうしの関係性から価額計算できる

路線価どうしの関係性から価額計算できる

相続税路線価と固定資産税路線価は、ともに公示価格と連動しているため、それぞれ一方から他方の価格を求めることができます。
下の計算式で、二つの価格の関連性を確認してみましょう。

【計算式】

相続税路線価 = 固定資産税路線価 ÷ 0.7 × 0.8
固定資産税路線価 = 相続税路線価 ÷ 0.8 × 0.7

いずれも、一度公示価格水準に割り戻したうえで、公示価格との乖離分を乗じています。

相続税路線価から固定資産税路線価を求める

上記の計算で求められる結果は、あくまでも目安程度です。
公示価格に対する相続税路線価が厳密に80%なわけではありませんし、価格の改定頻度や公表時期も異なるため完全に比例しているわけではありません。

同じ要領で、実勢価格も求めることもできます。不動産売却を検討している方は、実勢価格や公示価格が売買の目安となるため、相場を知る意味でも調べておくべきでしょう。

4.相続税路線価の調べ方

相続税路線価の調べ方

相続税路線価は国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で調べることができます。
路線価に土地面積を乗じると、相続評価額を計算できます。

ただし、路線価がない地域もあります。
そのような地域を倍率地域と呼び、別の方法で評価額を調べます。

4-1路線価のある地域の調べ方

路線価地域であれば、地図を選択していくことで対象地の道路の前に振られている相続税路線価を確認することができます。

表示されている相続税路線価は、「650D」のように数字と記号(アルファベット)の組み合わせです。
数字は「千円単位」の土地単価、記号(アルファベット)は借地権割合を表します。
借地権割合とは、更地価格に対する借地権価格の割合のことです。

財産評価基準書路線価図・評価倍率表

画像出典:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表

4-1.路線価がない地域(倍率地域)

倍率地域では、地図上で路線価を確認することができません。
「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」にある倍率表に記載された倍率を用います。

倍率地域の場合、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じることで相続税評価額を求めます。
固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書などに記されていますので、確認してみましょう。

画像出典:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表

5.固定資産税路線価の調べ方

固定資産税路線価の調べ方

固定資産税路線価は一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で調べることが可能です。
全国地価マップは固定資産税路線価だけでなく、公示価格や基準地価、相続税路線価といった全ての公的評価額も閲覧できます。

ただし、路線価がない地域もあります。
そのような地域は、状況類似地域と呼ばれ、別の調べ方をします。

5-1.路線価がある地域

全国地下マップで表示される地図から、対象地の道路の前に振られている固定資産税路線価を確認できます。

表示される固定資産税路線価は、「350000」のように数字だけとなっています。
固定資産税路線価は「円単位」で表示されます。

画像出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ

なお、相続税路線価から相続税評価額を求めるように、固定資産税路線価に土地面積をかけただけでは固定資産税評価額は求められません。

固定資産税評価額は、路線価をもとに計算する路線価方式と、近くの基準となる土地を参考に計算する標準宅地比準方式のいずれかで求められるためです。

5-1.路線価がない地域(状況類似地域)

状況類似地域は画面の左側にある「状況類似地域(図)」をクリックし、状況類似地域を表示させます。
点線で囲まれたピンク色の地域が一つの状況類似地域であり、その中に標準宅地があります。

標準宅地をクリックすると画面左側に『標準宅地の単価』として表示されます。
固定資産税路線価のない地域では、こうした標準宅地価格が、固定資産税算出の基礎情報となります。

画像出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ

固定資産税評価額の3つの調べ方!関連する税金の計算方法まで解説

この記事のポイント

今回は、不動産の価値(評価額)の計算に必要な2つの路線価について解説しました。
相続税路線価は、相続税評価額を算出するために使われ、ひいては相続税の算出根拠となります。
固定資産税路線価は、固定資産税評価額を算出するために使われ、固定資産税をはじめとしたさまざまな税金を計算する根拠となります。
それぞれ用途が大きく異なるため、混同しないよう注意しましょう。
相続税路線価と固定資産税路線価の違いは?
相続税路線価とは、土地1平米あたりの単価で、相続税評価額を求めるために使われる価格です。
固定資産税評価額も、土地の単価であることに変わりありませんが、固定資産税評価額を求めるために使われる価格です。こうした違いがあるため、2つの価格は一致しません。

詳しくは「1.相続税路線価と固定資産税路線価の違い」をご覧ください。

実勢価格や公示価格との乖離は?

相続税路線価や固定資産税路線価、実勢価格や公示価格は、いずれも公的な評価額でありますが、それぞれ価格が大きく乖離しています。

  • 相続税路線価は公示価格の80%程度の水準です。
  • 固定資産税路線価は公示価格の70%程度の水準となります。
  • 実勢価格は公示価格と1.0~2.0倍程度の乖離があります。

詳しくは「2.公示価格や実勢価格との乖離」をご覧ください。

相続税路線価と固定資産税路線価の計算方法は?

一度公示価格水準に割り戻すと簡単に計算できます。以下に2通りの計算方法を示します。

  • 固定資産税路線価から相続税路線価を求める式は「相続税路線価=固定資産税路線価÷0.7×0.8」
  • 相続税路線価から固定資産税路線価を求める式は「固定資産税路線価=相続税路線価÷0.8×0.7」

詳しくは「3.路線価どうしの関係性から価額計算できる」をご覧ください。

相続税路線価の調べ方は?
相続税路線価は国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で調べることができます。
土地に面する道路に書かれている数字を確認してみましょう。

詳しくは「4.相続税路線価の調べ方」をご覧ください。

固定資産税路線価の調べ方は?
固定資産税路線価は一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で調べることができます。
土地に面する道路に書かれている数字を確認してみましょう。

詳しくは「5.固定資産税路線価の調べ方」をご覧ください。

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

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相続税路線価と固定資産税路線価の違いとは?それぞれの特徴や調べ方を解説

路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があります。聞きなれない言葉なので、よくわからない人もいらっしゃると思います。2つの路線価には関連性もあり、一方から他方を計算で求めることもできます。この記事では、相続税路線価と固定資産税路線価との違いや調べ方をお伝えします。