この記事では、主に下記3点を紹介していきます。
- 5つの不動産評価額の概要
- 不動産評価額から固定資産税や相続税を算出する方法
- 税金対策に有効な3つの方法
不動産売却時の税金対策には、家の売却が有効になるケースもあります。信頼できる不動産会社をお探しの場合は、「IELICO(イエリコ)」をご活用ください。
目次
不動産評価額とは【5つの評価額】
不動産評価額とは、その名の通り土地や建物などの不動産を評価した価格のことで、1つの不動産に5つの評価額があります。そのため、不動産評価額は1物5価と言われます。 5つの不動産評価額の名称は、次のとおりです。
- 固定資産評価額
- 相続税路線価
- 公示地価
- 基準地価
- 実勢価格
5つの不動産評価額は利用目的や公表する自治体、公表時期などが異なります。
■不動産評価額の概要一覧
評価額の目安 | 調査元 | 調査年月 | 公表月 | 評価額の利用方法 | |
---|---|---|---|---|---|
固定資産税評価額 | 公示地価の70% | 市町村(東京23区は都) | 3年ごとの1月1日 | 4月 | 固定資産税や都市計画税の算出材料として使用 |
相続税評価額 | 公示地価の80% | 国税庁 | 毎年1月1日 | 7月 | 相続税や贈与税の算出材料として使用 |
公示地価 | 土地鑑定員委員会が総合的に判断 | 国土交通省 | 毎年1月1日 | 3月 | 土地取引や金融機関の担保評価の目安として使用 |
基準地価 | 公示地価とほぼ同じ | 都道府県 | 毎年7月1日 | 9月 | 土地取引や金融機関の担保評価の目安として使用 |
実勢価格 | 市況や過去の売買取引価格 | 不動産会社 | 随時 | 随時 | 不動産売買の目安として使用 |
評価額の目安となる公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が調査する土地価格で、毎年3月に公表されます。「銀座の一等地の公示地価が最高額を更新」などとニュースでも報道されるので、耳にしたことがある方もいるかもしれません。 次項では、それぞれの不動産評価額について詳しく説明していきます。
1】固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税を計算するために必要な不動産評価額です。
固定資産税評価額として評価された価格は、一般的に公示地価の70%ほどの数値になります。
2】相続税路線価
相続税路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために必要な不動産評価額です。
相続税路線価として評価された価格は、一般的に公示地価の80%ほどの数値になります。
3】公示地価
公示地価とは、土地取引や金融機関の担保評価の目安として使用される不動産評価額です。
公示地価は他の不動産評価額の基準であり、税金計算や不動産取引の基礎となる数値です。
4】基準地価
基準地価とは、土地取引や金融機関の担保評価の目安として使用する不動産評価額です。
基準地価を調査・公表するのは都道府県で、ほぼ公示地価と同額になります。
5】実勢価格
実勢価格とは、売買相場とも呼ばれ、不動産売買取引の成約価格を収集して算出された評価額(市場価格)です。
実勢価格は他の4つの評価額に左右されにくい、独自の評価額となります。
不動産評価額の調べ方【自分で調べる方法】
各不動産評価額を調べるときには、それぞれの評価額が公開されているインターネットサイトで確認することができます。
ここからは、各不動産評価額の調べ方を紹介していきます。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額を調べるには、「固定資産税納税通知書」か「固定資産課税台帳・固定資産評価証明書」を閲覧・取得する方法があります。
ただし、閲覧や発行は不動産の所有者もしくは相続人等の関係者のみです。
相続税路線価の調べ方
土地の相続税路線価を調べる際は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」を利用します。

路線価図をクリックし、該当するエリアを選択すると、調査する土地に接している地図が開きます。
借地権割合とは、土地の更地評価額に対する借地権価額の割合のことを言います。つまり、土地を貸していた場合、どれくらい相続税路線価が下がるのか示したものです。
公示地価・基準地価の調べ方
公示地価・基準地価は、インターネットサイト「不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)」で調査することができます。
調査内容は細かく記載されているため、自分が所有している不動産にどのくらいの金額がつくのか把握しやすいでしょう。
実勢価格の調べ方
実勢価格は、「不動産情報ライブラリ」か「レインズマーケットインフォメーション」で調査することができます。
土地総合情報システムは、調べたい地域や、不動産の種別(土地・一戸建て・マンションなど)を選択して検索できます。
実際に取り引きされた不動産成約情報の一部が表示されますので、所有している不動産と近い物件の相場を確認することができます。
レインズマーケットインフォメーションは土地の調査ができません。マンションか一戸建てを選択して絞り込みをかけます。

併せて都道府県と地域を選択することで、選択した地域で不動産売買取引された不動産成約情報が確認できます。
不動産評価額と実際の売却価格は異なる
ご紹介したように、不動産評価額は5つありますが、実際の売却価格とは異なる点に注意が必要です。
固定資産税評価額・相続税路線価は税金を計算するための評価額、公示地価・基準地価は土地取引や担保評価の目安、実勢価格は今まで成約した不動産価格です。
不動産売却のために実勢価格や公示地価・基準地価を参考にすることはありますが、それぞれの不動産には特徴があるため、売却する不動産ごとに売却金額を決定します。
売却したい物件がいくらで売れるか比較・検討したい場合は、「IELICO(イエリコ)」などの査定サービスを活用して、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
不動産評価額から税金を計算する方法【計算シミュレーション】
不動産評価額の一部からは、税金を計算することができます。計算できる税金は次のとおりです。
- 固定資産税
- 相続税
ここからは固定資産税と相続税の計算方法を紹介していきます。
固定資産税の計算方法
固定資産税を計算するときには、まず固定資産税評価額を計算します。 固定資産税評価額の計算方法は次のとおりです。
もし、固定資産税路線価10万円 / 平米、土地面積200平米であれば、固定資産税評価額は2,000万円ということです。なお、この計算式はかなり簡略化した計算式のため、概算で固定資産税評価額を算出するときだけ利用ください。 固定資産税評価額が計算できたら、次に固定資産税額を計算します。固定資産税は次のように算出します。
たとえば、固定資産税評価額3,000万円の土地の固定資産税を計算する場合は、次のような計算式になります。
なお、標準税率は課税する自治体ごとで異なり、1.5%や1.6%の税率を採用している自治体もあるため確認しましょう。また、固定資産税は、課税評価額が低いと免税になったり減税措置が設けられたりしています。古い家を相続した場合は、以下の関連記事も参考になさってください。
相続税の計算方法
相続税を計算するときには、まず相続税評価額を計算します。相続税評価額の計算方法は次のとおりです。
たとえば、相続税路線価が200E、調査する土地が200平米の場合の計算は次のとおりです。
※補正率・加算率は加味しておりません
相続税評価額が計算できたら、次に相続税を計算します。
【1】基礎控除は次のような計算方法で算出します。
【2】税率【3】控除額は、以下の通り、相続で取得する金額により段階的に増えていきます。
■相続税の早見表
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
表の通り、相続で取得する金額によって税率は上がりますが、同時に控除額も大きくなります。
また、基礎控除によって大幅な減税の可能性もあります。
詳しくは5-2でも解説しているので併せてお読みください。 なお、不動産売却の税金全般については以下の記事で詳しく解説しています。
税金対策に有効な3つの手段【特例控除】
固定資産税の計算の項目で触れましたが、税金には減税措置という特例が設けられています。
減税措置を利用することにより固定資産税や相続税を節税することができます。また、減税措置を利用しない税金対策方法も紹介していきます。
住宅用地の特例
土地の固定資産税は、土地に住宅が建っている場合には減税措置を受けることができます。これを住宅用地の特例と呼びます。
住宅用地の特例とは、住宅の敷地になっている土地の固定資産税が最大1/6になります。
固定資産税が1/6になるのは土地面積200平米までの部分で、200平米を超えた部分の固定資産税は1/3になります。
住宅の敷地面積 | 固定資産税評価額の軽減率 |
---|---|
小規模用土地(200平米以下) | 評価額 × 1/6 |
一般住宅用地(200平米を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
なお、住宅用地の特例は都市計画税にも適用され、200平米までの部分が1/3になり、200平米を超える部分が2/3になります。
この特例は土地上に住宅があれば永続的に固定資産税が減税されます。
また、賃貸物件でも適用されるため、賃貸アパート・賃貸マンションでも利用可能です。
相続税の基礎控除
相続税は、基礎控除を利用することで大きく減額することが可能です。
基礎控除を決める計算式は以下の通りで、国が定めた「法定相続人」の数により控除される額が変動します。
法定相続人は、戸籍に基づいた血縁関係により決められており、亡くなった方の配偶者・子ども・兄弟姉妹などが該当します。
そのため、遺言書などで血縁でない方が相続した場合は、法定相続人になりません。
たとえば、配偶者と子ども2人が5000万円を相続した場合、控除額と相続税の課税対象額は以下の計算になります。
もちろん、相続した遺産が控除額以下であれば、納税は不要となります。
不動産評価額に関するポイントをおさらい
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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