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不動産相続時の手続きや分割方法を徹底解説

最終更新日:2023.06.14

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不動産相続時の手続きや分割方法を徹底解説

相続が発生すると、様々な手続きが必要になります。
中でも、現金のように簡単に分割できない不動産は、手続きが煩雑になります。

この記事では、不動産を相続した場合の手続きの流れや、分割方法について詳しく解説しています。
事前に手続きの全体像や、必要な語句・基礎知識を知っておくことで、よりスムーズに相続を進められるでしょう。

売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。


家(一戸建て)の相続については『 家の相続から名義変更までの手順!かかる税金やトラブルを回避するポイント 』でも詳しく解説しています。

1.相続手続きの全体の流れと期限

相続手続きの全体の流れと期限

相続手続きの全体の流れと期限を、下表に示します。

手続 期限(空欄は特に期限の定めなし)
遺言書を探す
相続人を調べる
財産を確定する
相続放棄を検討する 相続の開始を知った日から3ヵ月以内
準確定申告を行う 相続の開始を知った日の翌日から4ヵ月以内
遺産の分け方を決める
名義変更を行う
売却を検討する
相続税の申告をする 相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内

1-1.遺言書を探す

相続が発生したら、最初に遺言書の有無を確認します。
遺言書があれば、原則として遺言書に従って遺産を分割しなければならないからです。

遺言書は、公正証書遺言書であれば公証役場、自筆遺言書であれば貸金庫や書斎、故人の付き合いのあった弁護士や税理士等によって保管されている可能性があります。

公正証書遺言とは、公証人が法律で定められた方式で作成する遺言書のことであり、自筆遺言書とは、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。

1-2.相続人を調べる

相続人が誰なのか調べておきましょう。
被相続人が再婚をしている場合、前妻には相続の権利がありませんが、前妻との間の子は法定相続人となります。

公正証書遺言とは、公証人が法律で定められた方式で作成する遺言書のことであり、自筆遺言書とは、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。

公正証書遺言とは、公証人が法律で定められた方式で作成する遺言書のことであり、自筆遺言書とは、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。

1-3.財産を確定する

相続では、プラスの財産もマイナスの財産も全て対象とります。
故人の財産を確定し、財産総額まで把握できるようにしておきましょう。

対象となり得る財産には以下のようなものがあります。

プラスの財産 不動産
現金・預金
株式、投資信託
車、貴金属、美術品等
マイナスの財産 借金
保証債務
損害賠償
未納の税金
営業上の未払い金等

相続人だけでは財産の調査が難しい場合は、弁護士や司法書士、税理士などに調査を依頼することもできます。

1-4.相続放棄を検討する

相続放棄とは、相続する権利を一切放棄することを言います。
相続放棄を行うと、プラスの財産もマイナスの財産も全て放棄することになります。

借金が大きすぎる場合などによく行われますが、ある相続人が相続放棄をすると、次の順位の相続人へと相続権が移っていきます。
相続放棄を検討する際は、関与する法定相続人に事前に周知しておくようにしましょう。

1-5.準確定申告を行う

故人が毎年確定申告を行っていた場合には、準確定申告を行う必要があります。

準確定申告とは、被相続人がなくなった年の収入に対する、代理の確定申告です。
相続の開始を知った日の翌日から4ヵ月以内が期限となります。

1-6.遺産の分け方を決める

遺産の分け方を大きく分けると、遺言書に従うか、遺産分割協議を行うかのどちらかです。

遺言書がある場合は、原則的に遺言書に則った遺産分割を行います。

遺言書がない場合は、相続人で遺産分割協議を行い分割していきます。
詳しくは、次の章で解説します。

1-7.名義変更を行う

不動産の相続人が決まったら、不動産の名義変更を行いましょう。
不動産を売却し現金化してから分割する方法もありますが、その場合も一度名義変更を行います。
不動産の売却は、不動産の名義人しか行えないためです。

相続における不動産の名義変更手続きを相続登記といいますが、2023年現在では義務化されていません。
ただし、2024年4月1日より義務化され、期限内に行わない場合は10万円以下の過料が発生します。

亡くなった親の土地の名義変更は必須!登記の手順や費用まで詳しく解説

1-8.売却を検討する

「相続税を賄うため」「今後住む予定がないため」「現金化して分割しやすくするため」など、様々な理由で不動産の売却が考えられます。

相続税を算出する際に、不動産の価値(相続税評価額)を調べますが、相続税評価額は、売買における不動産の価値と大きく異なります。

不動産の売却は、不動産会社の査定を受けたうえで考えるようにしましょう。

また査定額は、調査する不動産会社によって差がありますので、複数の不動産会社を比較することも重要です。
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1-9.相続税の申告をする

相続財産の総額が、基礎控除額を上回る場合は相続税が発生します。
相続税が発生する方は、相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に申告と納税を行います。

相続税について詳しくは4章で解説いたします。

2.相続した不動産を分割する基礎知識

相続した不動産を分割する基礎知識

相続では、まず「誰が、どれぐらい相続するのか」を決める必要があります。
不動産は現金のように簡単に分けられないため、トラブルを起こさない分割方法を決めることが重要です。

分割方法を決める際は、以下4通りの方法を用います。

  • 遺言書に則って決める(指定分割)
  • 遺産分割協議を行って決める(協議分割)
  • 家庭裁判所に仲立ちしてもらい決める(調停分割)
  • 家庭裁判所の審判をもとに決める(審判分割)

2-1. 遺言書に則って決める(指定分割)

遺言書は、遺産分割の方法を決める上で最も効力が高い書類です。
ある相続人が不公平と感じる相続内容でも、遺言書による指定がある場合はそちらが優先されます。

例えば、「長男が不動産を、次男が現金1,000万円を相続する」と指定されていれば、片方に不満があったとしても、その通りに相続が行われます。

一方で、相続人全員の同意があれば、遺言書に従って相続を行う必要はありません。

2-2. 遺産分割協議を行って決める(協議分割)

遺産の分割方法は、相続人全員が合意すれば自由に決定できます。
遺言書がある場合も同様です。

遺産分割協議とは、法定相続人同士で行う分割方法についての話し合いのことです。
遺言書がない場合や、遺言書の内容に不服がある場合に行われます。

遺産分割協議での決定をまとめた書類を遺産分割協議書といいますが、不動産の名義変更手続きにも必要になるため、必ず作成するようにしましょう。

2-3.家庭裁判所に仲立ちしてもらい決める(調停分割)

遺言書がなく、遺産分割協議によっても話がまとまらないケースもあります。

その際は、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所の調停委員に仲立ちしてもらい、話を進めていく方法をとれます。

相続人同士が直接話し合いを行う必要がなくなり、調停委員が代わりに相続人全員と、折り合いのつく分割方法を話し合いで決めていきます。

2-4.家庭裁判所の審判をもとに決める(審判分割)

前項の調停分割でも話がまとまらない場合は、家庭裁判所の審判の元、強制的に分割方法が決められます。

一般的には、法定相続割合に則した分割方法となります。
以下は、法定相続人と法定相続割合をまとめた表です。

法定相続人 配偶者以外の順位 法定相続割合
配偶者と子供 第1順位 配偶者1/2、子供1/2
配偶者と直系尊属※ 第2順位 配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹 第3順位 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

※直系尊属とは、父母や祖父母など目上の直系の血縁者のこと

法定相続割合で分割するといっても、不動産の分割は簡単ではありません。
そのため、次の章で解説する『不動産の分割方法』まで、審判によって決められます。

3.相続した不動産の4つの分割方法

相続した不動産の4つの分割方法

不動産の平等に分割することは難しく、そのために遺産分割に関する話し合いがまとまらないケースは少なくありません。

「平等」の考え方は、おかれている状況によって変わります。
相続人全員が最も平等だと考えられる、不動産の分割方法を考えていきましょう。

以下では、不動産を遺産分割する4つの方法について解説いたします。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 相続人全員で共有不動産とする

3-1.現物分割

現物分割とは、被相続人の現金や車、不動産などの財産をそれぞれ現物で分割する方法です。
例えば、「長男は不動産を、次男はそれに相応する現金や車を相続する」といった形になります。

最も手間がかからない方法ではありますが、不動産の価値は、売却し現金にしない限り明確ではないため、不公平と考える方も少なくありません。

3-2.代償分割

代償分割とは、財産を多く相続した相続人が、他の相続人に代償金(お金)を払うことで平等に分割する方法になります。

例えば、「長男が評価額2,000万円の不動産を相続する代わりに、次男には現金で1,000万円を支払う」といった形です。

現物分割と同様に、不動産の現金としての価値が明確でないため、渡す金額によって不公平さを感じやすいでしょう。
また、不動産の価値が高すぎると支払うだけの現金当が用意できない場合もあり、そもそもの選択肢から外れます。

3-3.換価分割

換価分割とは、不動産などを一旦売却してから、その現金を分ける分割方法です。

不動産に限らず車なども同じですが、売却し現金化してしまえば、平等に分割しやすくなります。

ただし、現金に換えたところで、分割割合についての話し合いがまとまらない限り、納得のいく相続はできません。

換価分割には、不動産等を売却する手間もかかるため、そうした貢献度合いも加味して話し合いができると、より平等な分割といえます。

3-4.相続人全員で共有

前項までは、「不動産を誰かが所有する」か「売却して公平に分けるか」といった分割方法でした。

ただ、不動産は誰か一人のものでなく、複数人が共有して所有することもできます。
相続人全員が不動産の権利を有しておきたいと考えているのであれば、共有不動産として所有する方法もあります。

共有不動産とする場合は、一つの所有権を、相続人それぞれがいくらかの割合で持つことになります。
そのため、不動産の現金としての価値が明確でなくても、平等な割合で相続することができます。

ただし、共有不動産の解消や取引は共有者全員の合意が必要です。共有者が多ければ多いほど、全員から合意を得るのが難しくなり、しばしばトラブルのきっかけになっています。

なお、不動産を共有する方法は、前述した現物分割や代償分割に当たります。
「相続人全員が、同じ割合で不動産を所有する」といった場合は、現物分割。
「相続人の一人以外が不動産を共有し、不動産を所有しない一人に相応の現金を渡す」といった場合は、代償分割といえます。

不動産分割の相談先は以下の記事で詳しく解説しています。

相続不動産の相談はどこへ?お悩み別の相談先とかかる費用

4.不動産相続にかかる税金・費用

不動産相続にかかる税金・費用

相続には、いくらかの費用がかかります。
不動産は、大きな財産のため、税金や手続きにかかる費用も大きくなります。

以下では、不動産の相続でかかる税金や費用について解説いたします。

4-1.相続税

相続税は、相続財産全体に対して、一定の割合で課税されます。
例えば、評価額3,000万円の不動産だけでなく、3,000万円の現金、1,000万円の借金を相続する場合は、差し引き6,000万円に対して相続税がかかります。

ただし、相続税は基礎控除額以下の場合は納税義務が発生しません。

基礎控除額は以下の式で計算できます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

※参考サイト:国税庁│相続税

4-2.登録免許税

相続後の名義変更手続を相続登記といいますが、登記にあたって登録免許税が発生します。

相続登記にかかる登録免許税は、以下の計算式で求められます。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%

自分で手続きを行う場合、あらかじめ登録免許税を計算して、事前に銀行で支払って領収書を受領します。
領収書を貼付した申請書を、法務局へ提出し納税となります。

4-3.司法書士や弁護士への報酬

相続に関する各種の手続き等を司法書士弁護士に依頼した場合、報酬の支払いが必要です。

相続を原因とする名義変更の司法書士手数料は、4~10万円程度です。
遺産分割協議書を作成する際の弁護士手数料は、遺産総額の0.5~1%程度が相場となっています。

5.不動産相続に必要な書類

不動産相続に必要な書類

不動産の相続は様々な手続きを必要とするため、多くの書類も必要になります。
以下では、不動産の相続に必要な書類と入手先をまとめ紹介いたします

必要書類 取得先
死亡届 各自治体のホームページ等
相続人全員の戸籍謄本 本籍地のある役所
被相続人の住民票 被相続人が住んでいた地域の役所
除住民票 被相続人が住んでいた地域の役所
戸籍謄本 本籍地のある役所
除籍謄本 本籍地のある役所
登記事項証明書 法務局の窓口や郵送、ホームページ
固定資産税評価証明書 固定資産税評価証明書
相続登記申請書 法務局の窓口や郵送、ホームページ
遺言書(遺言がある場合) 公証役場や自宅等
遺産分割協議書(協議した場合) 相続人または専門家が作成
相続人全員の印鑑証明(協議した場合) 相続人が住んでいる地域の役所

この記事のポイントまとめ

不動産の相続には、多くの段取りや手続きが多く、不慣れな方には非常に煩雑に感じるでしょう。
重要なのは、適切に分割し、名義を変更することです。

相続人同士で平等な分配方法を話し合い、不動産を相続しましょう。

相続手続きに期限はあるの?

相続には様々なな手続きが伴います。以下では、相続放棄と準確定申告、相続税の申告期限について紹介します。

  • 相続放棄は相続の開始を知った日から3ヵ月以内
  • 準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
  • 相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内

詳しくは「1.相続手続きの全体の流れと期限」をご覧ください。

分割方法はどのように決めればいい?

遺産分割の方法を決めるには、以下4通りの手段があります。

  • 遺言の通りに分割する
  • 遺産分割協議を行って決める
  • 家庭裁判所に申したて仲介のもと決める
  • 家庭裁判所の審判の通りに分割する

詳しくは「2.相続不動産の分割する基礎知識」をご覧ください。

不動産の分割方法はどんなものがある?

不動産の分割方法には、以下4つの方法があります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 相続人全員で共有

詳しくは「3.相続不動産の4つの分割方法」をご覧ください。

不動産相続にかかる税金や費用は?

不動産の相続時にかかる税金や費用は以下の3つです。

  • 基礎控除額を超える遺産がある場合は相続税
  • 名義変更にかかる登録免許税
  • 司法書士や弁護士への報酬

詳しくは「4.不動産相続にかかる税金・費用」をご覧ください。

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

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不動産相続時の手続きや分割方法を徹底解説

相続には、様々な手続きが必要になります。不動産は現金のように平等に分けにくいうえ、不動産特有の手続きがさらに必要です。不動産の相続がスムーズに進められるよう、この記事を通して相続完了までの進め方を確認していきましょう。