家や土地を売却するにあたって、権利証を紛失してお困りではありませんか?
権利証をなくした場合、再発行はできませんが、権利書なしでも不動産売却の手続きは可能です。
この記事では、権利証を紛失しても不動産を売却する方法について解説します。
これを読めば、権利証をなくしたときの対処法がわかり、慌てずに不動産売却を行えるでしょう。
「売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「IELICO(イエリコ)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
目次
1. 不動産の権利証を紛失したときの対処法

権利証とは、不動産を新規に取得した際、法務局から発行される書類です。
権利証は正式名称ではなく、2005年の不動産登記法改正前は「登記済証」と呼ばれていました。
改正後は「登記識別情報」と呼ばれています。
登記済証 | 不動産に権利が登録された際にその権利者に渡される冊子 |
---|---|
登記識別情報 | 不動産の所有者に通知される12桁の英数字 |
不動産売却時、権利証は不動産の所有者であることを証明するために提出します。
しかし権利証をなくした場合でも、別の方法で本人確認を行えば問題ありません。
ただ、万が一の事態が想定されるほか、今後の取引に支障が生じる可能性があるため、紛失に気付いた際は速やかに以下の行動をとりましょう。
【権利証を紛失した時にとるべき行動】
- 不正登記防止申出をする
- 登記識別情報の失効申出をする
それぞれ詳しく解説します。
1-1.不正登記防止申出をする
不正登記防止申出とは、紛失により不正な登記がされる差し迫った危険がある場合において、申出から3か月以内に不正な登記が行われることを防止するものです。
申出から3か月以内に登記が申請された場合には、申出をした方にその登記が申請された旨が通知されるため、身に覚えのない登記を防止できます。
不正登記防止申出の手続きは、申出人本人が登記所に出頭して行いますが、やむを得ない事情がある場合は代理人による出頭も可能です。
なお、不正登記防止申出にかかる費用は無料です。
1-2.登記識別情報の失効申出をする
登記識別情報の失効申出とは、登記識別情報を紛失し、誰かに盗み見られた可能性がある場合に、登記名義人や相続人などの申出によって登記識別情報を失効させるものです。
失効申出が受理された場合、その登記識別情報は効力を失うので、不正な登記が行われることを防止できます。
登記識別情報の失効申出も、登記所に出頭して手続きを行います。
なお、登記識別情報の失効申出にかかる費用も無料です。
2.権利証を紛失しても不動産を売却する方法

権利証は、不動産を新規に取得した際に、法務局から一度だけ発行される書類です。
あくまでも登記が完了したことを証明するためのものなので、紛失した場合に再発行はできません。
しかし、権利証を紛失したとしても不動産売却は可能です。
以下3つの方法を順番に検討するといいでしょう。
【権利証なしで不動産を売却する方法】
- 事前通知制度を利用する
- 公証人による本人確認制度を利用する
- 司法書士に代理で依頼する
詳しく見ていきましょう。
2-1.事前通知制度を利用する
事前通知制度とは、登記名義人が何かしらの理由で権利証を提供できない場合において、法務局を介して行う意思確認方法です。
法務局で名義変更手続きを行う際に、権利証を紛失した旨を伝えると、法務局から名義人に通知書が送付されます。
通知書には、登記申請が行われた旨と自分が行ったものかを確認する内容が盛り込まれています。
通知の発送から2週間以内に法務局の窓口に提出すれば、所有権の移転登記が可能です。
費用もかからないため、権利証を紛失した場合に最初に検討すべき代替案といえるでしょう。
ただし、2週間の期限を過ぎて登記申請ができなかった場合、買主は名義変更されていない状態で代金を支払うことになります。
そうなると、買主とトラブルになるおそれがあります。
トラブルのリスクを避けるなら、次にご紹介する「公証人による本人確認制度を利用する方法」を検討しましょう。
2-2.公証人による本人確認制度を利用する
事前通知は法務局により行われる本人確認ですが、本人確認は公証人に依頼することも可能です。
公証人に依頼する場合には、公証役場を訪れて委任状に登記名義人が署名した内容を公証人に認証してもらいます。
この認証したことを証明する委任状を権利証の代わりに法務局に提出することによって登記手続きが可能になるのです。
公証人の認証には印鑑証明書や実印、運転免許証といった本人確認書類、登記申請代理の委任状などが必要で、不備があると認証できないので、漏れがないように用意しておきましょう。
なお、手続きにかかる費用は3,500円程度です。
2-3.司法書士に代理で依頼する
司法書士に代理で本人確認を依頼することも可能です。
登記の申請人と司法書士が面談し、運転免許証といった本人確認書類を見ながら本人確認を行います。
司法書士が本人であることを認めた場合、本人確認情報という書類を作成し、登記申請時に法務局に提出することで登記手続きが可能になります。
ただし、事前通知制度とは違い、司法書士に本人確認を依頼する際は報酬が発生する点に注意が必要です。
報酬は各司法書士によって違い、10万円程度の費用がかかる場合もあるので比較してから依頼しましょう。
3.権利証紛失に関するよくある質問

権利証を紛失している場合でも名義変更手続きは可能であるとわかりましたが、他の手続きも権利証なしで行えるか気になっている方も多いと思います。
そこで、以下の2つが権利証なしでできるかの疑問についてもお答えしていきます。
【権利証紛失に関するよくある質問】
- 被相続人の権利証がなくでも相続できる?
- 住宅ローンの借り換えはできる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.被相続人の権利証がなくても相続できる?
不動産を相続する際は、被相続人の権利証を必要としません。
なぜなら被相続人は既に亡くなっており、権利証の意味がないからです。
権利証は必要ありませんが、被相続人の戸籍除籍謄本・住民票の除票、被相続人の戸籍謄本・相続人の住民票、不動産の評価証明書などが必要なので、事前に必要書類を確認しておきましょう。
3-2.住宅ローンの借り換えはできる?
住宅ローンの借り換えの際は権利証が必要です。
住宅ローンを借り換える際は、現在設定されている抵当権を一度抹消しなくてはなりません。
抵当権抹消手続きに権利証が必要になるのです。
事前通知制度の利用や司法書士による本人確認情報などで権利証に代えることが可能です。
融資を受ける銀行により紛失時の対応が違う場合があるため、事前に確認しておきましょう。
この記事のポイントまとめ
権利証とは、不動産を新規に取得した際、法務局から発行される書類です。
権利証は正式名称ではなく、2005年の不動産登記法改正前は登記済証、改正後は登記識別情報と呼ばれています。
権利証を紛失した場合には、以下の行動をとる必要があります。
- 不正登記防止申出をする
- 登記識別情報の失効申出をする
詳しくは「1.不動産の権利証を紛失したときの対処法」をご覧ください。
権利証を紛失しても不動産を売却することは可能です。
ただし、以下のいずれかを選び、不動産の名義人であることを証明しなくてはなりません。
- 事前通知制度を利用する
- 公証人による本人確認制度を利用する
- 司法書士に代理で依頼する
詳しくは「2.権利証を紛失しても不動産を売却する方法」をご覧ください。
不動産を相続する際の手続きには、権利証を必要としません。
その理由は、被相続人が既に亡くなっており、権利証を提示する意味がないためです。
一方、住宅ローンの借り換えの際は権利証が必要です。
ただし、名義変更の際と同様、事前通知制度の利用や司法書士による本人確認があれば、権利証がなくても手続きを行うことが可能です。
詳しくは「3.権利証紛失に関するよくある質問」をご覧ください。
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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