IELICO イエリコ 家を利口に売る

不動産の権利証を紛失したときの対処法|なくしても売却はできる!

最終更新日:2023.07.25

このページをシェアする
不動産の権利証を紛失したときの対処法|なくしても売却はできる!

家や土地を売却するにあたって、権利証を紛失してお困りではありませんか?

権利証をなくした場合、再発行はできませんが、権利書なしでも不動産売却の手続きは可能です。

また、相続時に被相続者が保管していた権利証が見当たらない場合は、そもそも不動産の相続に権利証が必要ないので、そのまま手続きを進めることができます。

この記事では、権利証を紛失しても不動産を売却する方法について解説します。

これを読めば、権利証をなくしたときの対処法がわかり、慌てずに不動産売却を行えるでしょう。

カンタン1分入力
あなたの不動産いくらで売れる?
STEP1
STEP2

1. 不動産の権利証をなくすとどうなる?

不動産の権利証を紛失したときの対処法

ご自身が所有する不動産の権利証をなくした場合、どのようなことが起こるのかを確認していきましょう。

※相続で被相続者が保管していた権利証が見つからない場合は「4. 相続の場合は権利証がいらない」をご覧ください。

権利証は再発行できない

権利証は、不動産を新規に取得した際に、法務局から一度だけ発行される証明書です。

あくまでも登記が完了したことを証明するために発行されるものなので、紛失した場合に再発行はできません。

とはいえ、紛失したからといって所有権を失うわけではないのでご安心ください。

権利証なしでも不動産の所有権を証明する方法はあります。

権利証をなくしても別の方法で手続きが可能

権利証をなくしても、別の手続き方法によって不動産は売却できます。
所有権自体は存在するので、所有権移転登記の申請をしたのが所有者本人だと証明できれば、権利証提出の代替となるのです。

手続きをする際には、「権利証」が正式名称ではないことをおさえておきましょう。

2005年の不動産登記法改正前は「登記済証」と呼ばれていました。

改正後は「登記識別情報」と呼ばれています。

登記済証と登記識別情報の違い

手続き時に「登記済証」「登記識別情報」のどちらを紛失したのかを問われる可能性があるので、どちらなのかを把握しておく必要があります。

では、権利証紛失時にどのような手続きが必要かを見ていきましょう。

2. 不動産の権利証を紛失したときの対処法

権利証の紛失に気付いた際にすぐできる対処法は、以下の3つです。

【権利証を紛失した時の対処法】

  • 事前通知制度を利用する
  • 不正登記防止申出をする
  • 登記識別情報の失効申出をする

それぞれ詳しく解説します。

2-1.事前通知制度を利用する

事前通知制度とは、登記名義人が何かしらの理由で権利証を提供できない場合において、法務局を介して行う意思確認方法です。

法務局で名義変更手続きを行う際に、権利証を紛失した旨を伝えると、法務局から名義人に通知書が送付されます。
通知書には、登記申請が行われた旨と自分が行ったものかを確認する内容が盛り込まれています。

通知の発送から2週間以内に法務局の窓口に提出すれば、所有権の移転登記が可能です。

費用もかからないため、権利証を紛失した場合に最初に検討すべき代替案といえるでしょう。

ただし、2週間の期限を過ぎて登記申請ができなかった場合、買主は名義変更されていない状態で代金を支払うことになります。
そうなると、買主とトラブルになるおそれがあります。

トラブルのリスクを避けるなら、「3-1. 公証人による本人確認制度を利用する方法」を検討しましょう。

2-2.不正登記防止申出をする

不正登記防止申出とは、紛失により不正な登記がされる差し迫った危険がある場合において、申出から3か月以内に不正な登記が行われることを防止するものです。

申出から3か月以内に登記が申請された場合には、申出をした方にその登記が申請された旨が通知されるため、身に覚えのない登記を防止できます。

不正登記防止申出の手続きは、申出人本人が登記所に出頭して行いますが、やむを得ない事情がある場合は代理人による出頭も可能です。

なお、不正登記防止申出にかかる費用は無料です。

2-3.登記識別情報の失効申出をする

登記識別情報の失効申出とは、登記識別情報を紛失し、誰かに盗み見られた可能性がある場合に、登記名義人や相続人などの申出によって登記識別情報を失効させるものです。

失効申出が受理された場合、その登記識別情報は効力を失うので、不正な登記が行われることを防止できます。
登記識別情報の失効申出も、登記所に出頭して手続きを行います。

なお、登記識別情報の失効申出にかかる費用も無料です。

3.権利証を紛失しても安全に不動産を売却する方法

権利証を紛失しても不動産を売却する方法

権利証をなくしたときは、事前通知制度を利用すれば本人確認が可能です。

ただ、事前通知制度では法務局への返信が2週間を過ぎた場合や、不備があった場合は登記自体が却下されるおそれがあります。

そうなると、買主が代金を支払うまでに名義変更ができずトラブルになりかねません。

そのようなリスクを避けるためには、以下2つの方法を順番に検討するといいでしょう。

【権利証なしで安全に不動産を売却する方法】

  • 公証人による本人確認制度を利用する
  • 司法書士に代理で依頼する

詳しく見ていきましょう。

3-1.公証人による本人確認制度を利用する

事前通知は法務局により行われる本人確認ですが、本人確認は公証人に依頼することも可能です。

公証人に依頼する場合には、公証役場を訪れて委任状に登記名義人が署名した内容を公証人に認証してもらいます。
この認証したことを証明する委任状を権利証の代わりに法務局に提出することによって登記手続きが可能になるのです。

公証人の認証には印鑑証明書や実印、運転免許証といった本人確認書類、登記申請代理の委任状などが必要で、不備があると認証できないので、漏れがないように用意しておきましょう。

なお、手続きにかかる費用は3,500円程度です。

費用はかかりますが、事前通知制度の手続きが期限内にできるかどうか少しでも不安がある場合は、公証人に本人確認を依頼するといいでしょう。

ただし、公証役場を訪れる手間と時間ががかかるため、早急に対処したい場合は次に紹介する「司法書士に依頼する方法」を検討しましょう。

3-2.司法書士に代理で依頼する

司法書士に代理で本人確認を依頼することも可能です。
登記の申請人と司法書士が面談し、運転免許証といった本人確認書類を見ながら本人確認を行います。

司法書士が本人であることを認めた場合、本人確認情報という書類を作成し、登記申請時に法務局に提出することで登記手続きが可能になります。

ただし、事前通知制度とは違い、司法書士に本人確認を依頼する際は報酬が発生する点に注意が必要です。
報酬は各司法書士によって異なり、10万円程度の費用がかかる場合もあるので比較してから依頼しましょう。

4. 相続の場合は権利証がいらない

不動産を相続する際は、被相続人の権利証を必要としません。
なぜなら被相続人はすでに亡くなっており、権利証の効力がないからです。

被相続人の権利証は必要ありませんが、以下のような書類は用意しないといけません。

  • 被相続人の戸籍除籍謄本
  • 住民票の除票
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 不動産の評価証明書

あとで慌てないよう、相続が決まった時点で必要書類の準備をし始めておくといいでしょう。

相続した家を売る方法は?手順や税金・必要書類まで一挙解説
不動産の売却で必要な書類は?チェックリストで確認しよう

5. 権利証に関するよくある質問

権利証紛失に関するよくある質問

権利証を紛失している場合でも名義変更手続きは可能であるとわかりました。

ここでは、そのほかの権利証についての疑問にお答えします。

【権利証に関するよくある質問】

  • 住宅ローンの借り換えはできる?
  • 登記簿と権利証は同じ?
  • 登記済証は登記識別情報に切り替えられる?
  • 共有名義の不動産を売却するときに権利証は必要?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1.住宅ローンの借り換えはできる?

住宅ローンの借り換えの際は権利証が必要です。

住宅ローンを借り換える際は、現在設定されている抵当権を一度抹消しなくてはなりません。
抵当権抹消手続きに権利証が必要になるのです。

事前通知制度の利用や司法書士による本人確認情報などで権利証に代えることが可能です。

融資を受ける銀行により紛失時の対応が違う場合があるため、事前に確認しておきましょう。

住宅ローン完済後に必要な手続きと申請手順・必要書類解説します!

5-2. 登記簿と権利証は同じ?

登記簿と権利証はともに「登記情報」に当たりますが、取得の権限が異なります。

権利証は「所有権の移転登記が完了したことを証明する書類・符号」です。
権利証は、法務局での移転登記が完了した際に発行される書類なので、移転登記を行った本人しか取得できません。

一方、登記簿は法務局で誰でも手数料を支払えば登記情報を取得できます。

なお、一般財団法人民事法務協会が運営している「登記情報提供サービス」や、株式会社情報通信ネットワークの提供する「登記簿図書館」を利用すれば、法務局へ足を運ばなくてもインターネットで登記簿の取得が可能です。

不動産登記簿は無料で閲覧できるのか?取得方法と書き方を解説
登記簿謄本とは?登記事項証明書との違いや取り方を解説

5-3. 登記済証は登記識別情報に切り替えられる?

不動産登記法が改正された2005年3月から、登記時の証明書が「登記済証」から「登記識別情報」へと変わりました。

しかし、2005年3月以前に所得した不動産の権利証を「登記済証」から「登記識別情報」に切り替えることはできません。

ともに不動産の所有者が変更したときに一度だけ発行される証明書だからです。

権利証は「再発行」「切り替え」のどちらも不可能であることを覚えておきましょう。

5-4. 共有名義の不動産を売却するときに権利証は必要?

共有名義人がいる不動産を売却するときには権利証が必要です。

共有名義とは、1つの不動産に対して所有者が複数いる状態のことを指します。
具体的には、夫婦共同で不動産を購入したり、親子や兄弟姉妹などが相続時の話し合いで共有名義にしたりするケースが該当します。

共有名義の不動産売却時の必要書類については、以下の記事で詳しく解説しています。

共有名義の不動産売却│売却の選択肢やトラブル回避のコツ

この記事のポイントまとめ

不動産の権利証をなくすとどうなる?

権利証は、不動産を新規に取得した際に、法務局から一度だけ発行される証明書です。
あくまでも登記が完了したことを証明するために発行されるものなので、紛失した場合に再発行はできません。

とはいえ、紛失したからといって所有権を失うわけではありません。
権利証をなくしても所有権自体は存在するので、別の手続き方法によって不動産は売却できます。

詳しくは「1. 不動産の権利証をなくすとどうなる?」をご覧ください。

権利証を紛失したときはどう対処すればいい?

権利証を紛失した場合の対処法は以下の通りです。

  • 事前通知制度を利用する
  • 不正登記防止申出をする
  • 登記識別情報の失効申出をする

詳しくは「2.不動産の権利証を紛失したときの対処法」をご覧ください。

権利証をなくしたときに不動産売却をする方法は?

権利証を紛失しても不動産を売却することは可能です。

以下のいずれかを選び、不動産の名義人であることを証明しましょう。

  • 公証人による本人確認制度を利用する
  • 司法書士に代理で依頼する

詳しくは「3.権利証を紛失しても不動産を売却する方法」をご覧ください。

相続の場合に権利証は必要?

不動産を相続する際は、被相続人の権利証を必要としません。
被相続人はすでに亡くなっており、権利証の効力がないからです。

詳しくは「4. 相続の場合は権利証がいらない」をご覧ください。

この記事の編集者

IELICO編集部

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。

運営会社情報(NTTデータスマートソーシング)

       

メディア 運営者情報

家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。

運営会社についてはこちら

カンタン1分入力

最大6社にまとめて 売却査定依頼

都道府県が選択されていません。

市区町村が選択されていません。

             

不動産の権利証を紛失したときの対処法|なくしても売却はできる!

この記事では、権利証を紛失しても不動産を売却する方法を解説します。これ記事を読めば、権利証を紛失した場合でも不備なく不動産売却を行えるでしょう。