不動産の取引は大きな金額が動く手続きであり、権利の移動や重要事項の確認といった法的なやりとりも必要となるため、用意しなければならない書類は多岐にわたります。売却をスムーズに進めるために、あらかじめ必要書類の種類や入手方法を把握しておくことが大切です。今回は売却手続きを「査定依頼」「媒介契約」「売却活動」「売買契約」「引き渡し」の5段階に分け、シーンごとに必要な書類をご紹介します。
- 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
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目次
1.不動産売却に必要な書類の一覧
不動産の売却では、手続きを進めるために数多くの書類が必要となります。一度に集めようとすると、確認漏れなどが生じてしまうため、早めに準備をスタートすることが大切です。
不動産の売却は、仲介してもらう不動産会社を選んで売却条件を決め、買い主が見つかれば具体的な売買契約へと進んでいきます。売却のステップごとに必要な書類も違ってくるので、段取り良くそろえていくことが肝心です。
1-1.不動産売却時に必要になるすべての書類
買い替えや住み替え、相続等の不動産売却に必要な書類は数多くあります。不動産の査定から引き渡しに至るまで、全体として必要な書類をあげると以下のとおりです。
いつ必要か | 必要書類 |
---|---|
査定時 | 登記済権利証(登記識別情報通知書) |
登記事項証明書(登記簿謄本) | |
土地の測量図、建物図面 | |
本人確認書類 | |
媒介契約締結時 | 建築確認済証、検査済証 |
売買契約書 | |
重要事項説明書 | |
物件の図面、設備仕様書 | |
建築設計図書、工事記録書 | |
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | |
地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書 | |
ローン残高証明書 | |
売り出し中 | 管理規約、使用細則 |
重要事項に関する調査報告書 | |
固定資産税納税通知書、固定資産税評価証明書 | |
売買契約時 | 印鑑証明書、実印 |
収入印紙 | |
引き渡し時 | 銀行口座書類 |
住民票 |
上記のように、不動産売却を進めるステップごとに必要となる書類は異なります。不動産会社の担当者に尋ねれば、どの段階で何の書類が必要になるかを教えてくれるので、早めに確認をしておくことが大切です。
手元に書類があるかを確認したうえで、紛失しているものがあれば早めに再発行をしてもらうなど対処しておきましょう。各ステップで書類がそろっていなければ、契約そのものが延期となる恐れがあるので注意が必要です。
一度に書類を集めようとすれば、書類の不備や漏れに気づかないこともあるので、不動産売却に取り組む早い段階で書類を整えておくようにしましょう。
なお、共有名義の不動産の場合は、必要な書類に注意が必要です。詳しくは以下の記事も併せて参考にしてください。
2.不動産の査定を行うときに必要な書類
不動産売却の第一歩は、不動産会社に査定依頼して、売り出し価格の目安を算定してもらうことから始まります。不動産の査定方法には、インターネット上で簡易に算出できる「机上査定」と、実際に担当者が現地へ訪れ、精度の高い結果を算出してくれる「訪問査定」の2通りがあります。
どちらの方法からスタートしても問題はありませんが、不動産の価格は個別の要因によっても異なるため、不動産売却に踏み出すときには最終的に訪問査定を依頼するのが一般的です。訪問査定ではさまざまな書類が必要となるので、事前に確認しておきましょう。
査定依頼時に必要な書類は次のとおりです。
- 登記済権利証(登記識別情報通知書)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 土地の測量図、建物図面
- 本人確認書類
2-1.登記済権利証・登記識別情報通知書
「登記済権利証」とは、不動産の登記が完了していることを証明する書類です。法律の改正によって、2005年3月以降は登記済権利証の代わりに「登記識別情報通知書」が発行される仕組みになったため、取得した時期によってはこちらが証明書として扱われます。
「自身が所有者であることを公に示す」役割を持っているため、売却時には必ずそろえなければなりません。なお、権利証は不動産の取得時に発行されるのが通常であり、再発行ができないため、紛失してしまった場合はその他の方法で自身が所有者であることを証明する必要があります。
具体的な方法としては、「司法書士・弁護士を通じて本人確認を行ってもらう」もしくは「公証人役場で本人確認を行う」といったものがあります。
いずれも時間や手続きのコストがかかります。査定依頼時にそろえておけば手続きがスムーズに進みやすくなりますが、間に合わない場合は、売買契約までにそろえる旨を不動産会社へ伝えておくと良いでしょう。
不動産会社によっては、必要な手続きについてアドバイスをもらえるケースもあります。
2-2.登記事項証明書・登記簿謄本
「登記事項証明書」はかつて「登記簿謄本」と呼ばれていたものであり、不動産の広さや地目・構造、権利関係などを示す書類です。売りたい不動産の特性を客観的に示す役割を持っているため、査定内容を直接的に左右する重要な書類でもあります。
また、権利関係については現在の所有者だけでなく、金融機関による抵当権設定の有無なども確かめられます。そのため、査定依頼時には必ず用意しておかなければなりません。
登記事項証明書は法務局で取得できるほか、インターネットでも申し込みが行えます。なお、売りたい不動産が土地の場合は土地の書類、マンションの場合は建物の書類、一戸建ての場合は土地と建物それぞれの書類が必要となる点に注意が必要です。
2-3.土地の測量図・建物図面
土地の測量図は面積とともに形状、測量方法、隣地との関係性を示す書類であり、土地や一戸建ての売却に必要となります。建物の図面は建物の広さや構造を示す書類であり、購入時のパンフレットなどがあればそちらで代用することもできます。
パンフレットには広さや間取り図などが詳細に記載されているので、建物図面よりも正確な情報を伝えやすいのがメリットです。土地測量図と建物図面は、どちらも法務局の窓口あるいはインターネットで取得を申請できるので、登記事項証明書と同時にそろえておくとスムーズです。
2-4.本人確認書類
本人確認書類として利用できるものには、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどがあり、いずれも顔写真付きの身分証明書である点が共通しています。不動産の売却は原則として所有者本人でなければ行えないため、査定依頼時には提示を求められるケースが多いです。
3.不動産会社と契約する際に必要な書類
査定依頼を終え、仲介を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結んで実際に売り出しをスタートします。媒介契約締結時には数多くの書類を用意しなければならないので、漏れがないように注意しましょう。
3-1.媒介契約を結ぶときの書類のチェックリスト
媒介契約時に必要な書類には以下のような種類があげられます。
書類の種類 | 内容 | 入手方法・ タイミング |
---|---|---|
建築確認済証・ 検査済証 |
|
|
売買契約書 |
|
|
重要事項説明書 |
|
|
物件の図面・ 設備仕様書 |
|
|
建築設計図書・ 工事記録書 |
|
|
耐震診断報告書・ アスベスト使用調査報告書 |
|
|
地盤調査報告書・ 住宅性能評価書・ 既存住宅性能評価書 |
|
|
ローン残高証明書 |
|
|
媒介契約を結ぶときには、不動産会社が必要書類について提示してくれるので、案内に沿って漏れなく準備を進めることが大切です。多くの書類は購入時、取得時に入手しているはずなので、きちんと保管されているかチェックしておきましょう。
また、書類のなかには、必須ではないものの「用意しておくと客観的な評価が向上しやすい」タイプのものもあります。場合によっては専門家による調査が必要なケースもあるため、入手の手間やコストも踏まえて不動産会社に相談しておくのがおすすめです。
4.売却活動を行っているときに必要な書類
媒介契約を結んだら、売却活動を行って購入希望者の募集をスタートします。売却活動は基本的に不動産会社が担いますが、その後の手続きをスムーズに進めるために、売り主は「内見希望に備えた準備」と「必要書類の整理」を行いましょう。
売却活動を行う際に必要な書類には次のようなものがあります。
書類の種類 | 内容 | 入手方法・ タイミング |
---|---|---|
管理規約・ 使用細則 |
|
|
重要事項に関する調査報告書 |
|
|
固定資産税納税通知書・ 固定資産税評価証明書 |
|
|
それぞれ入手方法やタイミングが異なるため、売却活動を行う前に余裕を持って確認を済ませましょう。
管理規約・使用細則
管理規約・使用細則はマンションに入居するうえで、守らなければならないルールや規則が記載された書類です。
具体的な内容は、ベランダの使用に関するルールや、ペットの飼育に関する注意点など、購入を検討するうえで重要な判断基準になるものも少なくありません。
重要事項に関する調査報告書
重要事項に関する調査報告書は、マンションの管理体制を示す書類です。
こちらも中古マンションの購入意思を左右する重要な基準となります。基本的には仲介を依頼した不動産会社が用意してくれるので、気になる場合は内容を確認させてもらうと良いでしょう。
固定資産税に関する書類
固定資産税に関する書類は、納税額の確認や登記手続きの費用を算出する際に必要です。また、中古物件の売買においては、買い主から売り主へ「固定資産税の清算」を行うのが一般的であり、このときにも必要となります。
固定資産税は毎年1月1日時点の状況をもとに算定されるため、最新のものを用意しておきましょう。
5.売買契約締結時に必要な書類
売却活動で買い手が見つかってからは、売買条件や売却価格を擦り合わせたうえで売買契約書を作成します。
この章では、売り主が不動産売買で必要となる書類を紹介します。契約の締結時に備えて、事前に必要書類を準備しておきましょう。
5-1.売買契約を結ぶときの書類のチェックリスト
売買契約時に売り主が持参すべき書類には以下のようなものがあります。
書類の種類 | 内容 | 入手方法・ タイミング |
---|---|---|
実印 |
|
- |
印鑑証明書 |
|
|
収入印紙 |
|
|
このほかに、媒介契約や売却活動時に用意しなかった書類があれば、売買契約の締結時までにはそろえておく必要があります。売買契約前には不動産会社から必要書類の案内をしてもらえるので、不安がある場合は細かく目を通しておきましょう。
なお、売買契約時には不動産会社に対して「仲介手数料の一部」(通常は半額)を支払う必要もある点に注意が必要です。
6.引き渡しを行う際に必要な書類
売買契約を締結したら、交渉時に定められた期日に物件の引き渡しが行われます。引き渡し時には「売却代金の決済」「登記移転の手続き」「必要書類の引き渡し」「鍵などの引き渡し」をまとめて行うため、手順とともに必要書類の確認もしておきましょう。
6-1.物件の引き渡し時に必要な書類のチェックリスト
引き渡し時に必要な書類には以下のようなものがあります。
書類の種類 | 内容 | 入手方法・ タイミング |
---|---|---|
銀行口座書類 |
|
- |
住民票 |
|
|
不動産の売却では大きな金額が動くため、銀行口座関係書類は取り違えが起こらないよう正確に準備することが大切です。引き渡し時には金融機関の担当者も同席するのが一般的なので、一緒に確認してもらうと良いでしょう。
住民票は売り主の現住所と登記上の住所が異なる場合に必要となります。引き渡しのタイミングで、売り主から買い主へ所有権の移転登記を行う必要があるため、忘れずに準備しましょう。
7.必要書類を丁寧に教えてくれる不動産会社を選ぼう
不動産の売却では用意すべき書類が多いので、一人で漏れなくチェックしようとするよりも、専門家である不動産会社のサポートを受けられると安心です。そのため、必要書類についても丁寧に教えてくれる不動産会社を選ぶことが、売却をスムーズに進める重要なポイントといえます。
ここでは、最後に不動産会社選びで意識しておくべき以下のコツをご紹介します。
- 不動産売却の豊富な会社を選ぶ
- 一括査定サービスを活用する
- IELICO(イエリコ)の特徴
7-1.不動産の売却実績が豊富な会社を選ぶ
不動産会社を選ぶうえでは、売りたい物件の種類に関する売買実績が豊富なところを見極めることが大切です。これまでご紹介したように、土地のみで売却する場合と建物付きで売却する場合とでは、必要書類にも違いがあります。
さらに、一戸建てとマンションでも手続きや書類には大きな違いがあるため、不動産会社の得意分野と売りたい物件がマッチしているかを丁寧に見極める必要があるのです。また、会社だけでなく担当者の資質に目を向けることも重要です。
不動産売却は売り主と担当者の二人三脚で進めていくものなので、「小さな質問でも丁寧に対応してくれる」「書類集めで困ったときに何でも聞ける」といった担当者のコミュニケーション能力も鍵を握ります。査定依頼の段階で気になるポイントがあれば、遠慮をせずに質問をしておくと良いでしょう。
質問への受け答えを通して、担当者の人柄やコミュニケーション能力を見極めることができます。
7-2.一括査定サービスを活用する
良い不動産会社を見つけるには、初めから依頼先を1つに絞り込むのではなく、複数の会社に査定依頼を行って比較することが重要です。しかし、査定依頼にはさまざまな条件を伝える必要があるため、1社ずつ査定を依頼するのは時間や手間がかかってしまう面もあります。
そこで、おすすめなのが不動産の「一括査定サービス」です。
一括査定サービスを利用すれば、一度の条件入力でまとめて複数の不動産会社に査定依頼を行えるため、売却価格の目安を確かめたり、自分に合った不動産会社を見つけたりするのに役立ちます。
また、売りたい物件や売却事情に応じて、自動的に最適な不動産会社が抽出されるため、初めて売却を検討する方でも安心して依頼先を見つけることが可能です。
なお、査定結果について不動産会社が売り主に提出する、「不動産査定書」のチェックポイントについて以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
7-3.IELICO(イエリコ)の特徴
不動産の売却では、さまざまな書類をそろえる必要があり、初めて取り組む場合には不安を感じる部分もあるでしょう。不動産の売却をサポートしてくれる信頼できる不動産会社を見つけることが、売却を円滑に進めるための重要なカギにもなります。
しかし、数多くの不動産会社のなかから、自分に合った会社を見つけるのは大変でもあります。1社ずつ査定を依頼しても、時間や手間ばかりがかかってしまい、思うように売却活動を進められないこともあるものです。
一括査定サービスの「IELICO」(イエリコ)は不動産売却HOME4U(ホームフォーユー)での長年培った実績をもとに、独自の基準で審査された不動産会社を紹介しています。一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼ができるので、効率良く会社選びを行えるでしょう。
提携している不動産会社は2,100社を超えており、全国のエリアから自分に合った不動産会社を見つけられます。10,000件以上の口コミから評判の良い会社を探すことができ、気になる会社にはそのまま査定依頼を申し込むことが可能です。
イエリコのサービスはNTTデータグループがサービスを運営しており、個人情報の取り扱いについて万全の体制を構築しています。不動産会社によって得意分野や査定額は異なるので、不動産売却を円滑に進めていくためにも、イエリコを活用してみましょう。
8.まとめ
不動産売却に必要な書類には、購入・取得のタイミングで入手できるものと、自ら手続きをして取得しなければならないものがあります。そのため、売却手続きがスタートする前に、どのような書類が必要となるのかを確認しておくことが大切です。また、書類のなかには、「必須ではないものの、あると売却を有利に進められる」といったものもあります。物件の状態や売却事情によって、用意すべきかどうか判断が異なるので、必要書類についても細かな相談ができる不動産会社を選びましょう。
この記事のポイント まとめ
不動産の査定依頼時に必要な書類は次の4点です。
- 登記済権利証(登記識別情報通知書)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 土地の測量図、建物図面
- 本人確認書類
各書類に関する詳しい解説は、「2.不動産の査定を行うときに必要な書類」をご覧ください。
不動産会社との契約時は、以下の書類が必要です。
- 建築確認済証・検査済証
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件の図面・設備仕様書
- 建築設計図書・工事記録書
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
- 地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
- ローン残高証明書
詳しくは「3.不動産会社と契約する際に必要な書類」をご覧ください。
この記事の編集者
IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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