最終的な手取り額は、さまざまな費用や税金、住宅ローン残債などを引いた金額となります。実際にどのような費用がかかるのかを予め把握しておかなければ、手取りが少なくなるだけでなく、損失を生んでしまう場合もあります。
この記事では、マンション売却時の手取りを計算する方法や、売却にかかる税金および費用などについて解説します。
事前に計算方法や費用を把握しておくことで、手取り額を増やすことができます。
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目次
1.マンション売却時の手取りを計算する方法

マンション売却における手取りとは、売却価格から費用や税金などを引いて最終的に手元に残るお金のことです。

手取りは譲渡所得税なども引いた額なので、マンション売却の利益とは別物です。
マンションを売却する際の手取りは、売却価格から住宅ローンの残債と諸費用、税金を引くと算出できます。
売却価格-諸費用-税金-住宅ローン残債=手取り
とはいえ、売却にかかった費用や税金をひとつひとつ考えながら計算するのは面倒です。
そこで、かんたんな入力だけで手取りがわかる「査定シミュレーションサイト」の使い方をご紹介します。
2.マンション売却時の手取りをシミュレーション

ここでは、査定シミュレーションサイト「マンションプライス」を利用して、マンション売却額の概算から手取りを確認する方法をお伝えします。

「マンションプライス 」で手取りを確認する手順は、以下の通りです。
- マンション名を入力する
- ヒットしたマンション名をクリックして詳細を確認
- 「売却額シミュレーション」に「売却額」と「ローン残債」を入力
- 「計算する」ボタンを押す
「計算する」ボタンをクリックすると、右側にマンション売却で手元に残る金額の概算が表示されます。

ただし、あくまで概算であり、仲介手数料や諸経費は不動産会社や引っ越し会社選びで変わります。
また、シミュレーションには「譲渡所得税」と「登録免許税」が含まれていません。ここからさらに2つの税金が引かれます。
次の章で詳しく解説する税金の金額を押さえて、より実際の価格に近い概算のシミュレーションをしましょう。
3.マンション売却にかかる税金

マンションの売却では、以下の税金が発生します。
項目 | 費用 |
---|---|
譲渡所得税 | 売却利益×所有期間によって決められている税率 |
印紙税 | 1万~3万円程度 |
登録免許税 | 1,000円×2(建物と土地) |
各費用について、詳しく解説します。
3-1.譲渡所得税
マンションを売却して利益が出たら税金が発生します。この税金を譲渡所得税と言います。
譲渡所得税は、所得税、住民税、復興特別所得税の3つの総称です。
譲渡所得税は、以下の計算式で算出できます。
取得費は仲介手数料や、印紙代などが挙げられますが、正確な金額が不明な場合は、売却額の5%を取得費とします。譲渡所得を計算したら、決められた税率をかけて所得税を計算しますが、税率は物件の保有期間によって異なります。
短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | |
---|---|---|
保有期間 | 5年以下 | 5年以上 |
所得税 (復興特別所得税含む) |
30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
所得税の税率は、短期譲渡所得の場合は30.63%、長期譲渡所得の場合は15.315%となっており大きな差がありますので、所得税が発生する場合、金額によっては5年以上経過してから売却することをおすすめします。売却益が発生しない場合は5年以下の売却でも問題ありません。
3-2.印紙税
マンション売却における印紙税とは、契約書などの課税文書に対して発生する税金のことです。
印紙税の金額は、契約金額によって異なります。
契約金額 | 税率 | 軽減税額 |
---|---|---|
500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超〜5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
契約金額が大きくなるほど価格も上がりますので、売却活動を始める前に他の費用とあわせて確認しましょう。
3-3.登録免許税
マンション売却する際は抵当権の抹消が必要ですが、その際に発生するのが登録免許税です。
登録免許税は、土地と建物それぞれに対して1,000円ずつ発生します。
そのためマンションの場合は、登録免許税が2,000円となることが一般的です。
抵当権の抹消は物件を引き渡す際に行い、抹消によって名義変更が必要となりますので、登録免許税はその際に発生します。
4.マンション売却にかかる諸費用

税金以外にも以下のような費用が発生します。
項目 | 費用 |
---|---|
仲介手数料 | 取引額によって異なる |
司法書士への報酬 | 15,000円~20,000円程度 |
その他諸費用 | 項目によって異なる |
各費用について、詳しく解説します。
4-1.仲介手数料
マンションを仲介で売却した場合は、仲介手数料がかかります。仲介手数料は、取引額によって異なります。
不動産の取引額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 取引額×5%+消費税 |
200万円超から400万円以下 | 取引額×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 取引額×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料は宅建業法によって上限が定められていますので、不動産会社から提示された際は、「妥当な価格なのか」を確認するようにしましょう。また、上限額内に収まっていたとしても、取引額に対して極端に高くないかも注意してください。
仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約時と残金の決済及び引き渡しの時です。それぞれ50%ずつに分けて支払います。
4-2.司法書士への報酬
抵当権の抹消手続きを司法書士に依頼する場合は、依頼報酬が発生します。
司法書士への報酬は15,000円〜20,000円ほどが目安です。
抵当権の抹消は自身で手続きすることも可能ですが、内容が複雑で手間がかかるので、依頼することをおすすめします。
4-3.その他の費用
その他にも、さまざまな諸費用がかかりますので、予め内容を把握しておきましょう。
項目 | 費用 |
---|---|
引っ越し費用 | エリアやシーズンで異なる |
ハウスクリーニング費用 | 10万円程度 |
住宅ローン一括返済にかかる手数料 | 1~3万円程度 |
引っ越しは繁忙期と重なると高額になるため、引っ越し費用も考慮して売却時期を考えなければなりません。また、エリアでも金額に差があります。
ハウスクリーニングは専門の会社に依頼することで、自分では手の届かないようなところを清掃できます。必須ではないですが、室内に清潔感が生まれることで、内覧者からの印象アップにもつながりますので、状況に合わせて検討してください。
住宅ローンの返済にかかる費用については、利用する金融機関や返済方法によって金額が異なりますので、利用する金融機関のホームページをご確認ください。
ハウスクリーニングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
5.マンション売却の基本的な流れ
マンション売却で手取りを増やすためには、できるだけ高く売らなければなりません。そのためには事前にマンション売却の流れを把握し、スムーズに買い手を見つけられるよう準備しておくことが大事です。
マンション売却は、以下の流れで進めていきます。

進めていく中で押さえておくべきポイントについて解説します。
5-1.自分で相場を把握する
マンションを売却すると決めたら、まずやるべきことはマンション売却相場を把握することです。
不動産会社に査定を依頼しても相場が分かっていなければ、査定額が妥当かを見極めることができません。 売り出し価格の設定にも影響しますので、必ず査定を依頼する前に把握しておきましょう。
売却相場は、次の2種類の方法で調べることができます。
- レインズ・マーケット・インフォメーション
- 土地総合情報システム
レインズ・マーケット・インフォメーションは、不動産流通機構が運営している情報提供サイトです。
これまでに取引されたマンションの売却価格が公開されています。他にも物件が成約となった時期や築年数、間取りなども調べられるため、類似物件があればだいたいの売却相場を調べることができます。
土地総合情報システムは、国土交通省が公開しているサイトです。不動産売買は実際に行なった人を対象にアンケートを実施し、その結果をデータベース化してさまざまな情報を公開しています。特徴としては、実際の成約価格を知ることができる点で、売りたい物件の過去のデータがあれば正確な情報を手に入れることができます。
あくまで過去のデータのため参考程度ではありますが、相場を把握するのに役立つので活用してみてください。
なお、相場の調べ方は以下の記事で詳しく解説しています。
5-2.不動産会社に査定を依頼する
マンションの相場が分かれば、不動産会社に査定を依頼します。
査定を依頼する方法はいくつかありますが、便利なのが一括査定サイトです。なかでも安心して利用できるサービスとしておすすめなのが、一括査定サイト「IELICO(イエリコ)」です。
「IELICO(イエリコ)」はNTTデータグループが運営するサービスで、日本最大級規模の不動産一括査定サイトです。
全国から実績のある優良企業2,100社を厳選し、提携しています。かんたんな情報入力だけで、一度に複数社へ査定を依頼することができます。はじめてマンションを売却する方は、「IELICO(イエリコ)」をぜひお試しください。
5-3.媒介契約を結ぶ
マンション売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類の契約形態があります。
どの契約形態を選ぶべきか、希望する売却活動の取り組み方や条件によっても異なります。
例えば、自分で買主を見つけたい方や、複数社と同時契約して一気に売却活動を進めたいという方であれば一般媒介が向いています。
一方で、熱心に取り組んでくれる不動産会社に依頼したい場合は、専任媒介や専属専任媒介が向いています。
それぞれメリットとデメリットがありますので、どの契約形態が適しているのかは不動産会社の話も聞きながら決めましょう。
5-4.売却活動を始める
無事に不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ販売活動を開始します。
販売活動中は、広告活動と内覧準備、内覧当日の対応が主な活動内容となります。
広告活動は不動産会社が行いますので、売主がやるべきことは特にありません。広告活動の結果、内覧の予約が入ったら当日に向けて準備をします。
内覧準備でやるべきことは、室内の清掃と資料などの準備です。お部屋の清潔さは購入意欲にも影響しますので、水回りや玄関などを中心にきれいにしておきましょう。
また、内覧当日は、内覧者からさまざまな質問を受けますので、応えられるように資料などを持参しましょう。内覧時の対応も購入希望者は見ていますので、丁寧な対応を心がけてください。
5-5.売買契約を結ぶ
買い手が決まったら、売買契約を結びます。
売買契約時は、売主と買主、不動産会社の担当者などが一堂に集まり手続きを行います。
売買契約の際に行うことは、重要事項説明書の確認や契約書の取り交わし、手付金の受領、仲介手数料の支払いなどです。
売買契約書を結んだあとの条件変更やキャンセルは違約金が発生する可能性があるため、問題ないか細かいところまで目を通しましょう。
このときに売主が買い手から受け取る手付金の目安は、購入価格の5~10%ほどです。
仲介手数料は売買契約時に50%、引き渡し時に残りの金額を支払うのが一般的です。
5-6.決済と引き渡しを行う
売買契約の締結後には、残金の決済と引き渡しを行います。
手続き等の確認に時間を要するため、決済と引き渡しは売買契約の締結日からおよそ1か月後を目安に実施されることが多いです。
決済と引き渡し当日は、売主と買主、不動産会社の他、金融機関担当者や司法書士なども同席して行います。
買主は購入金額の残金を支払い、売主は仲介手数料の残り50%を支払います。
決済を進める際に注意しなければならないのが、必要書類が揃っているかです。書類に不備があると決済手続きが進められず、最悪の場合は延期となる可能性もあります。改めて日程調整をするなど買い手や他の同席者にも迷惑がかかるため、書類の準備は余裕をもって行い、当日を向かえる前に不備がないか必ず確認してください。
決済が終われば鍵や物件に関する資料を引き渡して売却は完了となります。
5-7.確定申告を行う
マンションを売却したら確定申告を忘れずに行いましょう。
確定申告は、不動産を売却して利益(譲渡所得税)が出た場合に必要です。
利益が出なかった場合は基本的には確定申告は不要ですが、損失額が大きいときは確定申告をすると「繰越控除」の特例が適用され、最長3年間にわたって控除を受けることができます。
確定申告で注意すべきは、期限が決まっていることです。毎年2月〜3月中旬までなので、忘れずに申告してください。
確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。
6.マンション売却で手元に残るお金を増やす方法

マンション売却時の手取りを増やすためには、費用を削るのではなく高く売って利益を増やすことを考えましょう。そのためには、次の4つの方法を行ってください。
- 仲介で売却する
- 売却期間に余裕を持つ
- 相場より高めに売り出し価格を設定する
- 複数社に査定を依頼する
それぞれ詳しく解説します。
6-1.仲介で売却する
マンション売却は仲介で売却することをおすすめします。
マンションを売却する方法は、大きく「仲介」と「買取」の2種類に分けられます。
仲介は不動産会社が買い手探しや、売却に必要なあらゆる手続きを行ってくれる方法です。
一方、買取は、文字通り不動産会社がマンションを買い取ってくれる方法です。
仲介は自由度が高いので、売り出し価格も売主がある程度は決められますし、買取よりも高く売ることができます。
仲介手数料はかかりますが、売却益を考えると仲介で売るのがおすすめです。
6-2.売却期間に余裕を持つ
高値での売却を考えるなら、売却期間に余裕を持つことがとても大事です。
売却期間に余裕がない状態で売却活動を始めてしまうと、買い手が見つからなければ焦って売らなければならなくなります。そうなると価格を下げて売却し、損をしてしまうことになりかねません。
一般的に、マンション売却にかかる期間は3ヶ月〜6ヶ月程度とされています。あくまで目安でありさらに延びる可能性もありますので、長期化することも視野に入れてスケジュールの調整をしましょう。
6-3.相場より高めに売り出し価格を設定する
売り出し価格を設定する際は、相場よりも少し高めに設定しましょう。
売り出し価格は、最終的な売却価格ではなく、あくまで市場に出す際の価格となります。販売活動が進む中で、買い手から値引き交渉を受けて売り出し価格よりも低い価格で売却するケースはよくあります。
値引き交渉を受けることを想定して、あえて高く売り出しましょう。
売り出し価格の目安は、相場よりも1割高い価格です。価格設定を行う際は、不動産会社にも確認してきめましょう。
6-4.複数社に査定を依頼する
少しでも高く売却したいのであれば、不動産会社選びはとても重要です。高値での売却を任せられる不動産会社を探すためにも、複数社に査定を依頼し結果を比較してから選びましょう。
不動産査定は各会社が独自の基準を持っているので、査定結果も異なります。複数社に依頼することで、査定額の妥当性や根拠を知ることができますし、信頼できる不動産会社かどうかを見極めることにも役立ちます。
複数社に査定を依頼する際は、一括査定サイト「IELICO(イエリコ)」が おすすめです。
かんたんな情報入力だけで、一度に複数社へ査定を依頼することができます。はじめてマンションを売却する方は、「IELICO(イエリコ)」をぜひお試しください。
この記事のポイント
売却価格-諸費用-税金-住宅ローン残債=手取り
詳しくは「1.マンション売却時の手取りを計算する方法」をご確認ください。
詳しくは「2.マンション売却時の手取りをシミュレーション」をご確認ください。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
詳しくは「3.マンション売却にかかる税金」をご確認ください。
- 仲介手数料
- 司法書士への報酬
- その他諸費用
詳しくは「4.マンション売却にかかる諸費用」をご確認ください。
- 自分で相場を把握する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動を始める
- 売買契約を結ぶ
- 決済と引き渡しを行う
- 確定申告を行う
詳しくは「5.マンション売却の基本的な流れ」をご確認ください。
- 仲介で売却する
- 売却期間に余裕を持つ
- 相場より高めに売り出し価格を設定する
- 複数社に査定を依頼する
詳しくは「6.マンション売却で手元に残るお金を増やす方法」をご確認ください。
この記事の編集者

IELICO編集部
家を利口に売るための情報サイト「IELICO(イエリコ)」編集部です。家を賢く売りたい方に向けて、不動産売却の流れ、税金・費用などの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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